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【完全公開】障害者 健常者カップル ブログが語る出会い・同棲・結婚までの本音と現実

「障害者と健常者のカップルって実際どうなの?」という疑問に、当事者カップルの視点からリアルな経験をまとめた記事です。出会い・交際・同棲・結婚、お金や仕事、妊娠出産、周囲の偏見への向き合い方まで、きれいごとではない本音と工夫を具体的に紹介しています。


恋愛でつまずきやすいポイントや、障害をいつ伝えたか、同棲での家事・介助の線引き、喧嘩の原因と解決のヒントなど、「あるある」をイメージしながら読める内容です。

さらに、障害年金や福祉サービス、ライフプランの考え方、通院や仕事との両立など、生活を回すための実用情報も整理しています。


結論として、障害者と健常者のカップルは特別ではなく、話し合いと工夫で関係を育てていく普通のパートナー同士です。介助と依存の違い、一人時間や趣味の大切さ、専門職との連携など、長続きする関係づくりのポイントも紹介。

出会いを探す人、同棲・結婚を迷うカップル、今まさに悩んでいる当事者にとって、「自分たちなりの答え」を見つける手がかりになるはずです。

義足パパ

障害者だから結婚諦める必要はないよ!
そのポイントをまとめてから是非読んでね。

目次

障害者と健常者カップルのブログだから書ける本音

この章では、実際に障害のある当事者と健常者パートナーのカップルが共同で運営するブログだからこそ書ける、本音とリアルな気持ちをまとめます。一般的な恋愛コラムやニュース記事では拾いきれない、日常の小さなモヤモヤや喜び、制度や支援の話、SNSでは言いにくい本音まで、できるかぎり具体的な言葉でお伝えします。

「障害者 健常者カップル ブログ」というキーワードで情報を探す人の多くは、自分と似た立場のカップルのリアルな生活の様子や、出会い・同棲・結婚に至るまでのプロセス、周囲の偏見との向き合い方を知りたいと感じているはずです。この章は、その入口として「私たちがなぜ書くのか」「どんな立場から書いているのか」「どんな偏見に違和感を覚えてきたのか」を整理してお伝えします。

このブログ記事を書く理由と伝えたいこと

まず最初にお伝えしたいのは、障害があっても、恋愛や結婚、同棲や家族づくりを「特別なもの」としてではなく、ごく当たり前の人生の選択肢として語れる場をつくりたいという思いです。テレビ番組やインタビューでは、どうしても「感動的なエピソード」や「逆境からの奇跡」といった切り取り方がされがちですが、実際の毎日はもっと地味で、もっと人間くさく、時には笑ってしまうようなドタバタもたくさんあります。

このブログ記事を書く主な理由は、次のようなものです。

理由具体的に伝えたいこと
情報の少なさを埋めたい「障害者と健常者のカップル」「障害者と健常者の結婚」「障害のある人との同棲」などで検索しても、個人の体験談が少なく、制度の説明や医療機関のサイトばかりが出てきてしまいます。そこで、当事者カップルの視点から、出会いから結婚後の生活までの具体的なプロセスを一つの記事で読めるようにしたいと考えました。
孤立感を減らしたい「自分たちみたいなカップルって他にいるのかな」「この悩みを誰に相談していいかわからない」と感じている人に向けて、同じように悩みながらも関係を続けているカップルがいること、ひとりではないことを知ってほしいという思いがあります。
パートナーシップの現実を伝えたい「健常者が一方的に支える」「障害のある人は常に守られる側」というイメージだけでは、現実の関係性が見えなくなってしまいます。お互いが支えたり支えられたりしながら、役割分担や家事、仕事、福祉サービスの利用などをどう調整しているのかを、できるだけ具体的に共有したいと考えています。
偏見をやわらげたい「障害があるのに結婚なんて大変そう」「健常者側がかわいそう」といった言葉は、悪意がなくても当事者に深い傷を残します。このブログを通して、障害者と健常者のカップルも、喜びや不安、失敗や成功を持った「ごく普通の二人」であることを知ってもらい、偏見を少しでもやわらげられたらと願っています。

また、このブログでは、精神疾患や発達障害、身体障害、内部障害など、さまざまな障害の種類があること、そして症状の重さや生活スタイルによって必要な配慮が大きく変わることも繰り返しお伝えしていきます。単なる「のろけ話」ではなく、福祉制度や障害年金、合理的配慮、家族との関係、仕事との両立など、生活のリアルまで含めた情報を発信することで、これからパートナーシップを築こうとしている人の参考になればうれしいです。

さらに、この記事はあくまで「ひと組のカップルのケーススタディ」であることも、最初に明確にしておきたいと思います。障害の状態や家族背景、経済状況、住んでいる自治体の制度によって、選べる選択肢や直面する壁は大きく変わります。「このカップルがこうだったから、すべての障害者カップルも同じだ」と決めつけるのではなく、「こういう例もあるんだ」と、参考のひとつとして読んでいただければ幸いです。

「障害者カップル」とひとくくりにできない多様なかたち

「障害者カップル」という言葉はよく使われますが、実際には一つの言葉ではとてもくくりきれないほど、多様な背景や関係性が存在します。障害の種類や程度だけでなく、どちらか一方に障害があるのか、ふたりともに障害があるのか、精神障害なのか身体障害なのか、見た目にはわかりにくい障害なのか――それによって、恋愛の進み方も、同棲・結婚のハードルも、周囲の反応もまったく違ってきます。

例えば、次のような違いがあります。

違いのポイント具体的なバリエーション
障害の有無の組み合わせ・片方が障害者手帳を持ち、もう片方は持っていないカップル ・ふたりとも別々の障害を持っているカップル(例:片方が身体障害、もう片方が発達障害など) ・片方は診断を受けているが手帳は持っていないカップル など
障害の種類・見えやすさ・車いすや白杖など、外見から障害がわかる場合 ・うつ病や双極性障害、発達障害など、外見からはわかりにくい場合 ・持病や内部障害があり、疲れやすさや通院の多さが生活に影響する場合
生活の基盤・障害年金や各種手当を受けながらパートや在宅ワークをしているカップル ・健常者側がフルタイム勤務で、障害当事者側が家事や体調管理を中心に担当しているカップル ・ふたりとも働いており、福祉サービスや介助者を組み合わせて生活しているカップル
家族・周囲との距離感・実家が近く、親のサポートを受けながら暮らしているカップル ・地元から離れた場所で、ふたりだけで生活しているカップル ・きょうだいや友人、当事者会などのネットワークに支えられているカップル

同じ「障害者と健常者カップル」という言葉でも、あるカップルにとっては「通院の付き添い」が大きなテーマになるかもしれませんし、別のカップルにとっては「金銭面の不安」や「家事と介助の線引き」が一番の悩みかもしれません。必要なサポートや合理的配慮の内容も、それぞれの組み合わせによってまったく違うのです。

そのため、このブログでは「障害者カップル」を単純化して語るのではなく、記事の中でできるだけ具体的に「どちらにどのような障害があり、どんな支援を利用しているか」「家族との距離感はどうか」「どのような働き方をしているか」を明示するようにしています。そうすることで、読者の方が自分自身の状況と照らし合わせながら、必要な部分だけを選び取って参考にできると考えています。

また、当事者カップルの発信が増えてきた背景には、インターネットやSNSの普及があります。X(旧Twitter)やInstagram、ブログサービスなどを通じて、障害のある人自身が自分の生活や気持ちを言葉にし、発信できるようになったことで、以前よりも多様な恋愛・パートナーシップの姿が見えるようになってきました。私たちのブログも、その流れの中のひとつとして、できるだけ「生身の生活」に近い情報を届けたいと考えています。

よくある誤解と偏見への違和感

障害者と健常者カップルについて語られるとき、現実とは少しずれたイメージや、悪気はないのに当事者を傷つけてしまう言葉がしばしば登場します。このブログ記事では、そうした「よくある誤解」や「なんとなく前提にされている偏見」に対して、私たちが日々感じてきた違和感も正直に書いていきます。

代表的なものとして、次のようなイメージがあります。

よくあるイメージ当事者カップルとして感じる違和感
健常者側が「献身的なヒーロー/ヒロイン」像にされるメディアでは、健常者側が「すべてを受け入れて支える、尊い存在」として持ち上げられることがあります。しかし現実には、健常者側も迷ったり落ち込んだり、イライラしたりする普通の人間です。「そんなに大変なのに支えてあげてえらいね」と言われると、当事者側は「自分が重荷なんだろうか」と感じてしまうこともあります。
障害のあるパートナーは「常に守られる側」だと思われる「守られている」「支えられている」という表現が多用されますが、当事者側もまた、精神的な支えになったり、家事やお金の管理を担ったりと、関係性の中でたくさんの役割を果たしています。それなのに「守られる側」とだけ見られてしまうと、対等なパートナーとして認められていないように感じることがあります。
「結婚は無謀」「子どもはあきらめるべき」と決めつけられる障害があると知った途端、「結婚は大変だからやめたほうがいい」「子育ては無理なんじゃない?」と、本人たちの希望や準備とは関係なく否定されることがあります。しかし、必要な医療情報を主治医と共有し、福祉サービスや家族の協力体制を整えたうえで、慎重に選択しているカップルもたくさん存在します。大切なのは一律に「無理」と決めつけることではなく、「どうすれば安全で安心な選択ができるか」を一緒に考えていくことだと感じています。
恋愛感情ではなく「同情」だとみなされる「障害があるから付き合っているんじゃない?」「かわいそうだから一緒にいるんでしょ」といった言葉は、当事者カップルにとって強い侮辱になります。実際には、性格の相性や価値観、ユーモアのセンスや一緒にいて安心できる感覚など、恋愛感情のベースは他のカップルと何も変わりません。障害の有無だけで恋愛感情を説明しようとする視点に、私たちは大きな違和感を覚えます。

こうした誤解や偏見は、多くの場合「知らないこと」から生まれています。障害がある人と接する機会が少ないと、「ドラマで見たイメージ」「ニュースで聞いたケース」「一人の当事者の話」だけで全体を語ってしまいがちです。このブログの目的のひとつは、当事者カップルの生活をもう少し具体的にイメージできるような情報を増やし、「知らないこと」から生まれる不安や偏見を少しずつ減らしていくことにあります。

また、偏見や心ない言葉は、親や友人、職場の同僚など、身近な人から向けられることも少なくありません。「悪気がないから仕方ない」と飲み込んできた言葉によって、当事者が自分を責めたり、パートナーとの関係を諦めそうになったりすることもあります。このブログでは、どんな言葉に傷ついたか、それにどう対処してきたか、どのように気持ちを守ってきたかも具体的に書き残すことで、同じような経験をした人の「言語化」の助けになればと思っています。

さらに、誤解や偏見だけでなく、「支援したい」「力になりたい」と思ってくれている人たちが、どう接すればよいのか迷っているという現実もあります。この記事では、周囲の人がどのような言葉や行動を意識してくれるとありがたいのか、逆にどんな言い方は避けてほしいのかという点についても、当事者カップルとしての視点から丁寧に触れていきます。

私たちカップルのプロフィールと障害の状態

ここでは、障害者と健常者カップルである私たち自身のことを具体的にお伝えします。「どんなふたりが、どんな障害や生活背景を持ちながら付き合い、同棲や結婚を考えているのか」をイメージしてもらうことで、同じような状況にいる方が自分たちのケースと照らし合わせやすくなるように意識して書いています。

なお、プライバシーを守るために一部はぼかした表現もありますが、障害の程度や困りごと、収入や働き方などは、これから障害者と健常者の恋愛・結婚を考える方の参考になるよう、できる限りリアルに記載しています。

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ふたりの年齢や仕事など基本プロフィール

まずは、私たちカップルの基本的なプロフィールからご紹介します。年齢や居住地、仕事のスタイル、同棲を始めた時期などを整理すると、似たようなライフステージにいる方が、自分たちの状況と比較しやすくなると考えています。

項目パートナーA(障害当事者)パートナーB(健常者)
年齢20代前半20代前半
性別男性女性
居住エリア東海地区東海地区
同棲開始時期付き合って1年半後に同棲開始同上
仕事・働き方会社員フルタイム勤務看護師フルタイム勤務
収入のイメージ障害年金+毎月ほぼ一定の給与収入毎月ほぼ一定の給与収入
家計のスタイル生活費は基本的に折半に近い形だが、収入差や医療費を考慮して一部はBが多めに負担
住まいの形賃貸マンション(エレベーター付き・駅から徒歩10分以内)でふたり暮らし

パートナーAである私は、身体障害があり、体調や通院の都合からフルタイムでの長時間勤務や無理な通勤が難しいため、会社員として働きながらも、在宅勤務を中心に負担の少ない働き方を選んでいます。
一方、パートナーBは看護師として医療現場で働いており、シフト勤務をこなしながら、安定した収入と社会保険・厚生年金などの制度によって、私たちの生活を支えてくれています。

私たちは付き合い始めてから1年ほどで結婚を意識し、1年半のタイミングで同棲を開始しました。同棲前に、「家賃や光熱費をどう分担するか」「通院しやすい場所か」「仕事に支障が出ないか」といった点を何度も話し合い、今の地域と間取りを選んでいます。

障害の種類と症状 日常生活での困りごと

ここからは、パートナーAである私の障害について、できるだけ具体的にお伝えします。「どんな症状があって、日常生活でどんな場面で困るのか」「どの程度のサポートが必要なのか」は、カップルとして暮らしていくうえでとても重要な情報だからです。

項目内容
障害種別身体障害
等級身体障害者手帳 4級
主な症状長時間の歩行や移動が負担になる
天候や体調によって疲れやすくなる
通院やリハビリが定期的に必要
体調が悪化しやすいタイミング長距離移動
無理なスケジュール
休息が十分に取れないとき
通院頻度月1~2回通院
サポート日によって体調が大きく変わったり、朝の準備や移動に時間がかかったりと、生活の中でさまざまな工夫
利用している主な制度障害者手帳による交通機関の割引

日常生活で具体的に困りやすい場面としては、次のようなものがあります。

  • 通勤ラッシュ時の満員電車や、人混みの多いショッピングモールで強い不安や動悸が出る
  • 体調の波が大きく、前日に決めた予定でも当日になると外出が難しくなることがある
  • 頭がうまく回らず、家事の段取りや複数のタスクを同時にこなすことが難しい日がある
  • 睡眠リズムが崩れると、昼夜逆転に近い状態になり、生活全体が乱れやすい

こうした困りごとは、「完全に介助が必要な状態」ではないものの、生活のあちこちでさりげないサポートがあると助かるというレベル感です。たとえば、混雑する場所ではパートナーBが先に切符を買っておいてくれたり、調子が悪い日は夕食を買ってきてくれたりすることで、私の負担はかなり軽くなります。

また、「できる日」と「できない日」の差が大きいことから、「今日はたまたま元気に見えるけれど、いつもこうとは限らない」という前提をふたりで共有できているかどうかが、ストレスの少ない暮らし方につながっていると感じています。

健常者パートナーの性格と考え方の特徴

次に、パートナーB(健常者)の性格や考え方について整理します。障害の有無だけで役割を決めるのではなく、ふたりそれぞれの性格や価値観を理解しておくことは、長く良い関係を続けるうえでとても大事だと感じています。

特徴具体的な内容
性格の傾向穏やかでマイペース/感情の起伏が比較的少なく、怒鳴る・責めるといった言動がほとんどない
価値観「完璧を目指さない」「無理は長続きしない」というスタンスで、現実的な落としどころを一緒に考えるタイプ
コミュニケーション言葉で説明するのが得意で、状況や感情を整理して言語化してくれる/相手の話を最後まで聞こうとする姿勢がある
家事・生活面基本的な家事は一通りでき、自分のことは自分でやるのが当然という感覚を持っている
障害へのスタンス「障害だからかわいそう」「守らなきゃ」というより、「特性のひとつとして理解し、工夫して一緒に暮らす」という考え方
将来への考え方老後や病気、万が一働けなくなったときのことも含め、ライフプランを一緒に立てることを大切にしている

パートナーBは、私の障害について医学的な専門家ではありませんが、診察やカウンセリングの内容を一緒に聞きに行き、主治医の説明を共有してくれるタイプです。身体固定障害の場合、症状が目に見えないこともあり、「どこまで仕事を頑張っていいのか」「薬の副作用と生活のバランスをどう取るか」など、判断が難しい場面が多くあります。そのたびに、パートナーBは「主治医の意見」「自分たちの生活」「私の希望」の3つを整理しながら、一緒に考えてくれます。

また、健常者側が「支える人」「守る側」としてだけ固定されてしまうと、お互いにとって負担が大きくなってしまいます。私たちは、「家事や収入面ではBに助けられている部分が多いけれど、感情面や情報収集、手続きの調べものなどは私が得意だからそこで支える」といった形で、お互いの得意・不得意を補い合う意識を持つようにしています。

健常者パートナーが、障害について学んだり、当事者や家族の声に触れたりする機会を持つことも大切です。たとえば、自治体の相談窓口や家族向け講座、当事者会の情報を一緒にチェックし、「ふたりで参加できそうなものはあるか」を話し合うことで、「障害者と健常者」という分かれ方ではなく、「同じチームのふたり」という感覚が少しずつ育っていったように感じています。

出会い編 障害者と健常者カップルができるまで

障害者と健常者の恋愛は、ドラマのような特別な出会いだけで始まるわけではありません。実際には、 マッチングアプリや職場、友人の紹介、趣味のサークルなど、健常者同士のカップルとほとんど同じ入り口から関係がスタートする ことが多いです。ただ、「障害がある」と伝えるタイミングや方法、初デートでの配慮など、意識せざるをえないポイントがいくつかあります。

ここでは、私たちカップルの実体験をベースに、「出会いのきっかけ」から「告白とカミングアウト」までの流れを、できるかぎりリアルにお伝えします。

出会いのきっかけ マッチングアプリや職場などリアルな経緯

私たちが出会ったのは、いまや多くのカップルの出会いの場になっているマッチングアプリでした。 「障害者と健常者カップル」と聞くと特別な場所で出会ったように思われがちですが、実際にはごく一般的なオンラインサービスや職場、学校がきっかけになることがほとんど です。

出会いの場ごとに、メリットや注意点が少しずつ違います。以下は、障害のある当事者の視点から整理した例です。

出会いの場メリット注意点・デメリット
マッチングアプリプロフィール文である程度情報を整理して伝えられる。 メッセージのやり取りで、体調や生活リズムに合わせてゆっくり関係を築ける。相手が障害についての知識をほとんど持っていない場合が多い。 冷やかしや偏見のあるメッセージが来ることもある。
職場・アルバイト先日常の様子や働き方を見てもらえるので、障害の特性を理解してもらいやすい。 共通の話題(仕事)があるため距離が縮まりやすい。同僚へのカミングアウト状況によっては、プライベートな事情を話しにくい。 別れたときに気まずくなりやすい。
友人の紹介紹介してくれた友人がクッション役になるため、理解のある相手に出会いやすい。 事前にある程度の情報を共有してもらえる。うまくいかなかったときに、友人関係に影響が出ることがある。 「紹介だから断りにくい」と無理をしてしまうことがある。
サークル・趣味のコミュニティ共通の趣味があるため話題に困らない。 活動を通して自然に距離を縮めやすい。体調や移動の問題で参加頻度が下がると、関係も途切れやすい。 無理をして長時間の活動に参加してしまい、あとで体調を崩すことがある。

出会い方に「正解」はありません。ただ、 自分の体調や障害特性に合ったペースで関係を作っていける場を選ぶこと が、長く続くかどうかを大きく左右すると感じています。

プロフィールに障害を書くかどうか最初に悩んだこと

マッチングアプリを使うとき、最初に大きく悩んだのが 「プロフィールに障害のことをどこまで書くか」 という問題でした。書かなければマッチングの母数は増えるかもしれませんが、後から話したときに 「だまされた」と感じさせてしまうのではないかという不安もありました。

私たちの場合、最終的にとった方法は、「プロフィールの自己紹介文に、簡潔に障害について触れる」スタイルでした。例えば次のようなイメージです。

項目書き方のポイント具体例のイメージ
障害名医師から正式に診断されている名称だけをシンプルに書く。「◯◯障害の診断を受けています。」
日常生活への影響できないことよりも、「どんな配慮があれば一緒に過ごしやすいか」に焦点を当てる。「長時間の外出が苦手なので、のんびりしたデートが好きです。」
性格・価値観障害の有無だけでなく、人柄が伝わる内容をきちんと書く。「穏やかな性格で、インドアな時間を大切にしています。」
伝えない情報の線引き病歴の細かい経過や家族事情など、初対面では重くなりすぎる内容は書かない。「詳しい体調のことは、お会いしたときに少しずつ話せたらうれしいです。」

プロフィールに障害を書くかどうかは、当事者にとってとてもデリケートなテーマです。 大切なのは、「相手にどう見られるか」だけでなく、「自分が無理なく続けられるスタイルかどうか」で判断すること だと感じました。

障害を書いたことでマッチング数は一時的に減ったかもしれませんが、その分、 最初からある程度の理解や関心を持ってくれる人とだけやり取りできた ことは、精神的な負担を減らすうえで大きかったです。

初デートで気をつけたことと正直な気持ち

メッセージのやり取りを経て、いよいよ初デート。ここで私たちが一番大事にしたのは、 「お互いが無理をしない場所・時間・移動手段を選ぶこと」 でした。特に、体力や感覚過敏、発作のリスクなどがある場合、初回から張り切りすぎると、その後の関係にも影響します。

実際に話し合って決めたチェックポイントは、次のようなものでした。

チェック項目障害当事者側の視点健常者パートナー側の視点
待ち合わせ場所人混みや段差が多すぎない場所、トイレが見つけやすい場所を候補にする。事前に駅構内図や周辺地図を確認して、迷わず行けるか・エレベーターがあるかを調べておく。
移動手段電車やバスの乗り換えが少ないルートを優先する。階段や長距離移動が負担にならないよう、タクシー利用も含めて柔軟に考える。
お店選び騒音や強い照明、香りが負担にならないかを考える。バリアフリー対応や席の広さ、予約の可否を事前に確認しておく。
デート時間体調が比較的安定している時間帯を選ぶ。初回は短めの設定にする。「無理しないでね」と伝えつつ、途中で解散しやすいプランを考えておく。

初デートの日、私(障害当事者)は 「体調を崩したらどうしよう」「相手に迷惑をかけないだろうか」という不安 でいっぱいでした。一方で、パートナーはパートナーで、 「どこまで手伝えばいいのか」「普通に接して失礼にならないか」 を悩んでいたと後で聞きました。

結果的に良かったと感じているのは、事前のメッセージで、 「このくらいの時間なら大丈夫」「人が多いところは少し苦手」など、 こちらの希望と不安を率直に伝えておいたこと です。それによって、当日は「もしつらくなったら途中で帰ろうね」と自然に声をかけてもらえ、安心して過ごすことができました。

告白のタイミングと障害を打ち明けた瞬間の反応

何度かデートを重ねるうちに、「そろそろ関係をはっきりさせたい」と感じるタイミングがやってきます。ここで改めて悩んだのが、 「正式に付き合う前と後、どちらの段階で障害についてどこまで話すか」 ということでした。

私たちの場合、プロフィールでは簡潔に触れていたものの、具体的な症状や日常生活への影響までは話していませんでした。そこで選んだのは、 「告白と同じタイミングで、これから一緒に過ごしていくうえで知っておいてほしいことを丁寧に伝える」 という方法です。

実際の流れは、次のようなイメージでした。

ステップ話した内容意識したポイント
ステップ1「付き合ってほしい」と、まずは気持ちをシンプルに伝える。障害の話だけで雰囲気が重くなりすぎないよう、「一緒にいたい」という前向きな気持ちを最初に言葉にする。
ステップ2診断名と、大まかな症状・体調の波について説明する。専門用語を並べるより、「こういうときに困る」「こうしてもらえると助かる」という具体的なイメージを伝える。
ステップ3これまで付き合ってきた人との間で起きたトラブルや不安だった点を、必要な範囲で共有する。相手を試すためではなく、「同じことで悩ませたくない」という思いを正直に話す。
ステップ4相手の不安や疑問を聞く時間をきちんと取る。すぐに答えが出なくても良いこと、少し考えてから返事をしてくれてもかまわないことを伝える。

障害を打ち明けた瞬間、相手がどう反応するかは、当事者にとって大きな恐怖です。私も、 「重いと思われてしまうのでは」「かわいそうだと同情されるのでは」 と震えるような気持ちで話しました。

パートナーの最初の言葉は、「教えてくれてありがとう」でした。その一言だけで、 「障害そのもの」ではなく「私という人間」を見ようとしてくれている と感じられ、涙が出そうになったのを覚えています。もちろん、すべての相手がこうした反応をしてくれるとは限りません。中には距離を置く人もいるかもしれません。

それでも、 「障害を含めた自分」を受け止めてくれる人と出会うためには、どこかのタイミングで勇気を出して伝える必要がある ということを、私たちの経験から強く感じています。そして、相手にとってもまた、 「わからないことをわからないと言っていい」「一緒に学んでいける」と思える関係づくりが何より大切だと、今振り返っても思います。

交際編 障害者と健常者の恋愛でぶつかった壁

付き合い始めてから私たちが最初に感じたのは、「好き」という気持ちだけでは乗り越えられない、生活や環境に関わる具体的な壁でした。デートの計画ひとつをとっても、移動手段や体調、経済状況、家族や友人の反応など、健常者カップルではあまり意識されない要素を常に考えながら選択していく必要があったからです。ここでは、実際の交際の中でぶつかった現実と、それにどう向き合ってきたかを具体的にお伝えします。

デートでの移動 外出 体調面の工夫

私たちカップルにとって、デートは「どこへ行くか」よりも「どう移動するか」と「どれくらいの時間・負担なら楽しめるか」をすり合わせる作業から始まります。駅や商業施設のバリアフリー状況、乗り換えの回数、段差やエレベーターの有無、混雑具合など、事前に確認しておかないと当日動けなくなることが多かったからです。

また、精神障害や内部障害がある場合は、外からは分かりにくいものの、長時間の外出や人混み、音や光の刺激が体調に大きく影響します。そのため、デートコースを考えるときには「無理をしないライン」を具体的に共有するようにしました。

場面困りごと私たちが実際に行った工夫
電車移動ラッシュ時の混雑で体調が悪化しやすい。立ちっぱなしがつらい。乗り換えが多いと疲労が大きい。時間帯をずらして集合し、混雑時間を避ける。乗り換えが少ないルートを優先。事前にエレベーターの場所を調べてから出発。
バス・タクシーバス停から目的地までの距離が読みにくい。長距離移動が負担になる。体調が不安定な日は思い切ってタクシーを利用することを前提に予算を組む。短時間で行ける近場のスポットを開拓。
ショッピングモール・テーマパーク人混み・音・光の刺激で疲れやすい。長時間歩くと翌日に強い疲労が残る。滞在時間をあらかじめ2~3時間までと決める。休憩スポット(カフェやベンチ)をあらかじめチェックしておく。
カフェ・飲食店段差や狭い通路で移動しづらい。行列に長時間並ぶのが難しい。予約できる店を選ぶ。入口やトイレのバリアフリー情報を口コミで確認。席の希望(静かな席など)を事前に伝える。

外出時には、「もし途中で体調が悪くなったらどうするか」を事前に話し合い、合図や中止の基準を決めておくことも大切でした。例えば、私たちは「顔色や様子だけで判断しようとしない」「つらくなったら遠慮なく『いったん休みたい』と口に出す」というルールを共有しました。

健常者のパートナー側としては、「せっかく来たのだから最後まで楽しもう」とつい頑張らせてしまいそうになりますが、その日の体調に合わせて予定を柔軟に変更できる余白を持つことが、ふたりの関係を長く続けるうえでの安心感につながりました。

金銭感覚と障害年金 収入のリアル

お金の話は、どんなカップルにとってもデリケートなテーマですが、障害者と健常者のカップルの場合、収入や働き方の違いがそのまま生活の安定度や価値観のギャップとして表れやすいと感じています。障害のある側は、体調や通院の関係でフルタイム勤務が難しいことも多く、パート勤務や在宅ワーク、障害年金を組み合わせて生活しているケースが少なくありません。

一方で、健常者のパートナーはフルタイムで働き、ボーナスや昇給がある一方、通勤や残業の負担も抱えています。このバランスの違いから、「どこまでお金を出し合うか」「将来のための貯金をどう考えるか」といった点で何度も話し合いを重ねました。

項目障害のある側のリアル健常者側が感じやすい本音
収入の安定性体調で働ける時間が変わりやすく、月ごとの収入に波がある。障害年金があっても、生活費と医療費でギリギリになりがち。「自分の収入に頼られている」と感じる一方で、プレッシャーや将来不安も抱えやすい。
デート代「払えないわけではないけれど、続けていくと負担になる」ラインが低め。交通費や医療費も重なり、自由に使えるお金が限られる。最初は全額支払うことに抵抗はないが、「このままずっと自分持ちで大丈夫かな」と不安になることも。
障害年金・給付生活を支える大事な収入源。ただし、支給条件や更新手続きには不安やストレスがつきまとう。制度をよく知らないと、「どのくらい頼りにできるお金なのか」「結婚後にどう変わるのか」が分からず不安になる。
将来の貯金・保険月々の医療費がかさみ、なかなか貯金が増えない。保険も加入条件が厳しいことがある。自分の名義で多めに貯金したり保険に入ったりする必要性を感じつつ、「不公平なのでは」と迷いが生まれやすい。

私たちが意識しているのは、「どちらが多く払っているか」ではなく「ふたりの生活全体をどう安定させるか」に視点をずらして話すことです。たとえば、外食や旅行など贅沢に分類される支出は、それぞれの収入割合に応じて負担を変える一方、家賃や光熱費、通信費などの固定費は、将来を見据えてどのように分担するかを時間をかけて相談しました。

また、障害年金や自治体の福祉サービスについては、曖昧なイメージのままにせず、役所や相談支援専門員に確認しながら「どのくらいの収入が安定的に期待できるのか」「結婚した場合に変動する可能性はあるのか」を具体的な数字で把握するようにしました。お金の不安は、曖昧なままにしておくほど関係に影を落としやすいテーマだからこそ、早い段階でオープンに話し合うことが大切だと感じています。

親や友人への紹介で感じた視線と偏見

交際が順調に進むほど、「親や友人にいつ、どう紹介するか」という問題が現実味を帯びてきます。障害者と健常者のカップルの場合、「本人たちがどう思っているか」だけでなく、「周囲がどう受け止めるか」という壁が、想像以上に大きく立ちはだかることがあります。

私たちが実際に経験したのは、次のような反応でした。

  • 「本当に大丈夫なの? 将来、あなたが全部支えることになるんじゃないの?」という、健常者側の親からの心配と不安。
  • 「迷惑をかけるのではないか」「反対されたらどうしよう」と、障害のある側が先回りして抱いてしまう罪悪感。
  • 友人からの無邪気な「すごいね」「優しいね」という言葉が、知らないうちに“美談”として語られてしまう居心地の悪さ。

とくに親への紹介では、「障害そのもの」だけでなく「生活や結婚後の現実をどこまで説明するか」が大きな悩みになりました。体調の波や仕事の状況、必要な配慮や支援、将来的な介助の可能性などを正直に伝えれば伝えるほど、親の不安は大きくなる一方で、隠してしまうと後から誤解や不信感につながると感じたからです。

そこで私たちは、紹介のタイミングと伝え方について、次のようなステップを踏みました。

  1. まずは健常者側のパートナーが、自分の親に「交際相手が障害当事者であること」を先に伝え、親の反応を見ながら不安や疑問を聞き出す。
  2. そのうえで、実際に会う場面では、いきなり障害の話だけをするのではなく、趣味や仕事、価値観など、ひとりの人として知ってもらう時間を大切にする。
  3. 必要な配慮や今後考えていることについては、「すべて今すぐ決めているわけではないが、こういう選択肢を一緒に検討している」と、ふたりの話し合いの様子も含めて共有する。

友人に対しては、偏見のある人とない人の差がはっきり出ることもあります。中には、「大変そうだけど、すごいね」と、善意から「尊敬」「献身」といった言葉をかけてくれる人もいますが、当事者としては「かわいそうだから付き合っている」「支える側・支えられる側」というイメージを押しつけられているように感じることもあります。

そうした違和感が積み重なると、友人グループから少し距離を置きたくなったり、ふたりで参加する飲み会やイベントが減ってしまったりすることもあります。それでも私たちは、自分たちの関係性を守るために、「理解してくれる友人と深く付き合う」「無理に全員に分かってもらおうとしない」という線引きを大切にするようになりました。

喧嘩の原因になりやすいポイントと解決のコツ

どんなカップルにも喧嘩はつきものですが、障害者と健常者のカップルでは、障害に関するすれ違いが、喧嘩の引き金になりやすいと感じています。とくに、以下のようなポイントでぶつかることが多くありました。

  • 「頑張ればできるでしょ?」という無自覚なプレッシャー
    健常者の感覚からすると「少し疲れているけれど、頑張れば行ける距離」「我慢すれば大丈夫な騒音」でも、障害のある側にとっては翌日に寝込むほどの負担になることがあります。この感覚の違いが、「わがままを言っているように見える」「理解してもらえない」と感じさせ、衝突につながりました。
  • 「迷惑をかけているのでは」という罪悪感
    障害のある側は、体調不良でドタキャンしてしまったり、予定を何度も変更してもらったりすると、「申し訳ない」「自分なんかと付き合っていて良いのか」と自分を責めがちです。その罪悪感が蓄積すると、小さなすれ違いでも「どうせ自分が悪いんでしょ」と極端に受け取ってしまうことがあります。
  • お金や将来の話になると重くなりすぎる
    結婚や同棲の話が出ると、「誰がどれくらい働けるのか」「どのくらいの支出なら続けられるのか」という現実的な問題が避けられません。「今が幸せだからそれでいい」という気持ちと、「将来への不安」がぶつかり合い、話し合いのたびに喧嘩になってしまう時期もありました。

これらのすれ違いを完全になくすことは難しいですが、私たちが実践して効果を感じている「解決のコツ」はいくつかあります。

  1. その場の感情よりも「事実ベース」で話す
    「また分かってくれない」と感情でぶつかるのではなく、「このくらいの距離を歩くと翌日はこういう症状が出る」「この時間帯に電車に乗るとパニックになりやすい」など、事実や具体例を共有するように意識しました。
  2. 「相手のせい」にしない言い方を選ぶ
    「あなたが無理させるからつらい」ではなく、「このくらいのペースだと、私の体には負担が大きいみたい」と、自分の状態を主語にして伝えることで、防御的な喧嘩になりにくくなりました。
  3. 落ち着いてから、ふたりのルールを見直す
    喧嘩の原因になった出来事について、時間をおいてから「次に同じことが起きそうなとき、どうすればいいか」を一緒に考え、ルール化していきました。たとえば、「体調が少しでも不安な日は、外出の前に必ず一言共有する」「お互いに疲れているときは、大事な将来の話は先送りにする」などです。
  4. 第三者の力を借りる勇気を持つ
    お互いだけで話し合うと堂々巡りになるテーマについては、主治医やカウンセラー、相談支援専門員などに相談し、「医学的な見立て」や「福祉制度の視点」からアドバイスをもらうこともあります。専門家の言葉をきっかけに、ふたりの考え方がすり合わさっていくことも少なくありません。

喧嘩をゼロにすることよりも、「ぶつかったときに関係が壊れない話し合い方」を一緒に身につけていくことが、障害者と健常者のカップルにとって何より大切な土台だと感じています。壁の存在そのものを否定するのではなく、「どう超えるか」「どう付き合うか」を一緒に考え続けることが、交際を続けるうえでの大きな力になっています。

同棲編 一緒に暮らして見えた現実

同棲を決めた理由と時期 同居前に話し合ったこと

私たちが同棲を決めたのは、交際からしばらく経ち、週末のどちらかの家に泊まる生活が続き、「それなら最初から一緒に暮らしたほうが楽なのでは?」と自然に思うようになったことがきっかけでした。ただ、「好きだから一緒に住みたい」という気持ちだけでは、障害のある当事者と健常者の同棲は成り立たないと感じていました。

同棲前には、お互いのスケジュールを合わせて何度もカフェで話し合いの時間を取り、「理想」よりも「現実」を具体的にすり合わせていきました。特に大事だったのは、次のようなポイントです。

テーマ具体的に確認したことなぜ事前に必要か
お金家賃・光熱費・食費・医療費・通院交通費などの負担割合、貯金の目標額障害年金やパート勤務など、収入の波を前提に「払えるライン」を共有するため
家事・介助どの家事を誰がどの頻度で行うか、ヘルパーや家事代行を使う範囲「恋人だからやって当然」という空気を防ぎ、燃え尽きや不満をためないため
体調体調が悪化したときにどう休むか、どこまで仕事や予定を優先するか急な通院・欠勤・キャンセルが起きたときに、責め合わないルールを作るため
プライベート一人時間の確保、友人付き合い、実家への帰省頻度同棲しても「個人」としての生活リズムや人間関係を守るため

同棲の時期についても、お互いの仕事の繁忙期や、障害の症状が比較的安定しているタイミングを選ぶようにしました。引っ越しや環境の変化は想像以上にストレスになりやすいため、「とりあえず勢いで一緒に住む」のではなく、通院スケジュールや職場の異動時期などを全部カレンダーに書き出してから決めたことが、のちのトラブルを減らしてくれたと感じています。

家選びのチェックポイント バリアフリーと立地

家選びでは、通常のカップルの「広さ・家賃・駅近かどうか」といった条件に加えて、障害の特性に合わせたバリアフリーと生活導線を最優先に考えました。見学のときにチェックしたポイントを整理すると、次のようになります。

項目チェックポイント我が家の選択・工夫
建物の出入りエレベーターの有無、段差の数、スロープや手すりの有無階段のみの物件は避け、エレベーター付き・エントランスまで大きな段差がないマンションを選択
室内の動きやすさ廊下やドアの幅、トイレ・浴室の広さ、車いす・杖の取り回しやすさできるだけ段差が少ないフラットフロアで、トイレと浴室に手すりを後付けできる物件を選択
音・光の環境窓からの騒音、日当たり、照明の明るさ調整がしやすいか感覚過敏の負担を減らすため、幹線道路沿いを避け、遮光カーテンが使いやすい間取りに
立地とアクセス最寄り駅からの距離、病院・クリニック・薬局までのアクセス、バス停の位置通院先へのアクセスを最優先し、多少家賃が高くても病院に通いやすいエリアを選択
周辺環境スーパー・コンビニ・ドラッグストアの距離、階段の多さ、夜道の安全性歩く距離を短くするため、徒歩5分圏内に買い物先があるかどうかを重視

不動産会社には、最初から障害のことをオープンに伝え、「エレベーター必須」「段差が少ない物件」「病院に行きやすい路線」などの条件を出しました。条件を伝えるときは「かわいそうだから」ではなく、「安全に生活するために必要な合理的配慮」であることを、自分たちの中でも言語化しておくと、遠慮せずに相談しやすくなりました。

家事分担と介助の線引き どこまで頼るか問題

同棲を始めてすぐに直面したのが、「家事」と「介助」の線引き問題でした。私たちは、「ふたりで暮らすために必要な作業」と「障害があることで追加で必要になるサポート」は、一度きちんと分けて考えることにしました。

内容分類我が家のルール
料理・洗い物家事平日は体力のあるパートナーがメイン、休日は私ができる範囲で担当し、作り置きで負担を減らす
掃除・ゴミ出し家事重いゴミ出しや高い場所の掃除はパートナー担当、床掃除や片付けは私が無理のない範囲で行う
入浴時の見守り介助体調が悪い日は浴室の外で声かけと見守りをしてもらい、必要なときだけ手を貸してもらう
通院同行介助・サポート大事な診察や説明の日のみパートナーが付き添い、それ以外は自分かヘルパーサービスを利用
書類手続きサポート難しい書類はふたりで一緒に確認し、実際の提出や連絡は基本的に私が行う

このように、「どこまでを恋人としての思いやりで行うのか」「どこからは制度やサービスも活用するのか」を具体的に言葉にすることで、双方の負担感が見えやすくなり、「やってもらって当たり前」「こんなにやっているのに」という不満をため込みにくくなったと感じています。

また、どうしても体力的・精神的にきつい時期には、市区町村のヘルパー制度や家事代行サービスを一時的に利用するなど、「ふたりだけで抱え込まない」選択肢も積極的に検討しました。パートナーの善意や愛情だけに頼りすぎないことは、関係を長く続けるための大切なポイントでした。

生活リズムと体調不良のときのルールづくり

同棲してみて気づいたのは、一緒に暮らすからといって、生活リズムや体調が自動的に合うわけではないという現実でした。早寝早起きのパートナーと、体調によって朝なかなか起きられない私では、起床時間も活動できる時間帯も違います。

そこで私たちは、次のような基本ルールを決めました。

  • 平日の朝は、パートナーは自分のペースで準備し、私を無理に起こさない
  • 夕食は「一緒に食べられたらラッキー」くらいの感覚で、時間を固定しすぎない
  • 体調が悪い日は、事前に決めた「赤信号ワード」(例:「今日はダウン」など)を伝えたら、詳しい説明は後回しにしてまず休む
  • どうしても話し合いが必要なときは、夜遅くではなく、体調が比較的安定している時間帯に行う

こうしたルールを作ることで、「せっかく一緒に住んでいるのに、なんで起きてきてくれないの?」「またドタキャンされた」といった気持ちのすれ違いが少しずつ減っていきました。

通院の付き添いと仕事の両立

同棲前は、通院に付き添ってもらうことも多かったのですが、一緒に暮らすようになってからは、「毎回付き添うのは現実的ではない」ということを前提に、優先順位をつけることにしました。

  • 主治医の診察で治療方針が変わる可能性がある日
  • 検査結果の説明を受ける日
  • 自分ひとりでは医師にうまく説明できないと感じる日

こうした日は、あらかじめ職場の有給休暇や半休を調整してもらい、パートナーに付き添ってもらいます。それ以外の定期処方だけの日などは、私ひとりで通院し、あとで診察内容をメモやLINEで共有する形にしています。

そのうえで、パートナーの仕事を「私の通院のために調整してもらって当然」と考えないことも意識しました。どうしても付き添いが難しいときは、タクシーや公共交通機関、場合によっては福祉タクシーなどのサービスを使い、「ふたりの生活全体がまわるバランス」を優先しています。

こうした決めごとは、一度で完璧に作れるわけではなく、実際の経験を通して少しずつ更新していくものだと思います。それでも、「発作が起きたときにどうしたらいいか」「何に気をつければいいか」を話し合っておくことで、パートナーが必要以上に不安を抱え込まずに済み、私自身も「迷惑をかけてしまった」という罪悪感から少し解放されました。

同棲して良かったこととしんどかったこと

同棲を始めてから感じたのは、「障害者と健常者の同棲」だからこその喜びとしんどさが、どちらもはっきりと存在するということでした。

良かったこととしては、次のような点があります。

  • 体調が悪い日に、ひとりで不安を抱え込まずに済む安心感がある
  • 通院や手続きなど、苦手な場面を一緒に乗り越えることで、信頼感が深まった
  • 日常の小さな成功(料理ができた、外出できたなど)を、その場で一緒に喜べる
  • パートナーが障害について自然に理解を深めていき、説明の負担が減った

一方で、しんどさを感じた場面も少なくありませんでした。

  • パートナーが疲れているときにまで介助やサポートを頼んでしまい、「申し訳なさ」と「ありがたさ」で苦しくなることがある
  • 体調不良が続くと、家事や収入面でパートナーに負担が偏り、「一緒にいることで相手の人生を狭めていないか」と不安になる
  • 同棲しているからこそ、つらい姿や弱い部分を常に見せることになり、距離感の取り方に悩むことがある

それでも、私たちは、「同棲しているからこそ話せる本音」を何度もぶつけ合いながら、少しずつ自分たちなりのペースを見つけてきました。完璧なパートナーシップを目指すのではなく、「今日はこれができたね」と小さな達成感を積み重ねていくことが、同棲生活を続けていくうえでの何よりの支えになっています。

結婚編 障害者と健常者カップルが入籍するまで

プロポーズの現実 ロマンよりも生活の話が中心

私たちがプロポーズを意識し始めたのは、付き合って数年がたち、お互いの生活リズムや体調の波をある程度把握できるようになってからでした。映画やドラマのようなサプライズよりも、「この先の生活を一緒にやっていけるかどうか」をじっくり確かめるプロセスのほうが、障害者と健常者カップルには大切だと感じました。

具体的には、体調の悪い日が続いたときに仕事や家事をどうするか、発作や強い不安が出たときにどんなサポートが必要か、将来の収入と支出のバランス、実家との距離感などを、何度も話し合いました。そのうえで、「一緒に暮らしていきたい」という意思を確認し合い、特別な演出はなくても、お互いにとって納得できる形でプロポーズの言葉を交わしました。

ロマンチックさがゼロだったわけではありませんが、「結婚=生活の共同運営」という現実的な視点を持てたことで、後から大きなギャップに苦しまずに済んだと感じています。決め手になったのは「この人となら、つらい日も一緒に受け止めていける」という安心感でした。

両家挨拶で伝えた障害のことと家族の反応

プロポーズの後に待っているのが両家への挨拶です。障害のある側の家族には、付き合い始めた頃から少しずつ相手の話をしていたので、反対される心配は比較的少なかった一方で、健常者側の家族にどうやって障害について説明し、理解してもらうかが大きな課題でした。

私たちは、両家挨拶の前に「どこまで、どのように話すか」をふたりで整理しました。具体的には、障害名や症状、日常生活でどんなサポートが必要か、就労状況や収入、これまで利用してきた福祉サービス、今後の見通しなどを簡単なメモにまとめ、相手のご両親から質問があれば、それをもとに落ち着いて答えられるように準備しました。

挨拶当日は、まず健常者側のパートナーから「結婚したいと思っていること」をシンプルに伝え、そのうえで、障害のある本人が自分のことを自分の言葉で話しました。「できないこと」だけでなく「工夫すればできること」「支援を受けることで安定していること」も一緒に伝えることで、「一緒に生活していくイメージ」を家族に持ってもらえるよう意識しました。

家族の反応はさまざまで、「応援するよ」とすぐに受け入れてくれた人もいれば、「本当に生活していけるのか」「子どものことはどう考えているのか」と、心配から厳しい質問をする人もいました。私たちは、感情的に反発するのではなく、「心配してくれているからこその言葉だ」と受け止め、時間をかけて対話を続けました。結果として、家族にとっても、障害について学ぶきっかけになり、少しずつ理解が深まっていったように感じています。

婚姻届と戸籍 障害手帳 障害年金の手続き

両家の同意を得たあとは、いよいよ入籍の準備です。婚姻届自体の手続きは、基本的にはどのカップルも同じですが、障害当事者がいる場合、戸籍上の氏名・住所変更に伴う各種手帳や年金の名義・住所変更がセットで発生するため、スケジュールを立てて進める必要がありました。

婚姻届の提出に必要なもの(本人確認書類、本籍地が他市区町村の場合の戸籍謄本など)は、事前に市区町村窓口や公式サイトで確認しました。担当窓口の職員の方に障害の状況を伝えると、手続きの順番や必要な書類を丁寧に教えてもらえたので、不安な場合は早めに相談することをおすすめします。

入籍後は、以下のような手続きを順に行いました。

手続きの種類主な内容問い合わせ先の例
障害者手帳の記載変更氏名・住所・氏の変更がある場合、手帳の記載変更や再交付の手続きを行う。市区町村の障害福祉担当窓口
障害年金の氏名・住所変更戸籍上の氏名や住所が変わった場合、年金の記録を最新の状態に更新する。年金事務所(日本年金機構)
公的医療費助成の変更自立支援医療や各種医療費助成の受給者証に変更がある場合、再申請や変更届を出す。市区町村の医療助成担当窓口

手続きの詳細は、厚生労働省日本年金機構、お住まいの自治体の公式サイトにわかりやすく説明されています。一度にすべてを終えようとすると負担が大きくなるため、「婚姻届」「手帳・年金」「医療費助成」「銀行・クレジット・携帯電話」など、カテゴリーごとに分けて少しずつ進めると、体調への影響も少なく済みました。

結婚式をするかしないか ご祝儀や費用の問題

入籍を決めたあと、次に悩んだのが「結婚式をするかどうか」です。障害者と健常者カップルの場合、体調や移動の負担、会場のバリアフリー状況、当日のスケジュールのハードさなど、通常のカップル以上に検討すべきポイントが多くなります。また、ご祝儀や費用の負担をどう考えるかも重要でした。

私たちは、まず結婚式のスタイル別にメリットとデメリットを書き出しました。

スタイルメリット注意点
一般的な披露宴家族・親戚・友人に正式に報告できる、記念に残る。費用が高くなりやすい。長時間の移動や着席が体調に負担になる可能性。
少人数の食事会準備の負担が比較的少ない。落ち着いた雰囲気で話ができる。招待できる人数が限られる。親戚が多い場合、誰を呼ぶかで迷うことも。
写真だけのフォトウエディング当日の時間が短く、体調に合わせやすい。費用を抑えやすい。挙式や披露宴を重視する家族には、物足りなく感じられる場合がある。
式・披露宴をしない経済的負担が少ない。準備によるストレスがない。後から「写真だけでも撮ればよかった」と感じる人もいる。

ご祝儀についても、「赤字にならないようにする」ことより、「無理なく続けられる生活を優先する」ことを軸に考えました。招待客に気を遣い過ぎて背伸びをするよりも、ふたりの体調と家計に合ったやり方を選ぶほうが、結婚生活のスタートとして健全だと感じたからです。

最終的に私たちは、家族中心の小さな食事会とフォトウエディングを選びました。移動時間を短くし、当日のスケジュールにも余裕を持たせることで、体調への負担を抑えつつ、家族に感謝を伝える時間を持つことができました。

かかりつけ医には、名字変更と結婚のタイミングで改めて診察を受け、今後の生活や働き方の予定についても共有しました。そのうえで、必要に応じて診断書や意見書を書いてもらい、職場の合理的配慮の継続や更新、利用している福祉サービスとの連携に役立てました。医療や福祉と仕事をどうつなげていくかについては、e-Gov(電子政府の総合窓口)などの公的情報も参考にしながら、自分たちに合う形を探りました。

お金と仕事のリアル 生活を支えるためにしていること

障害年金 手帳 各種福祉サービスの活用

私たちカップルの場合、生活の土台になっているのは、本人名義の収入(障害年金やパート収入など)と、パートナーの収入、公的な福祉サービスを組み合わせた「複数の柱」をつくることです。どれか一つに頼り切るのではなく、リスク分散を意識しています。

まず大きいのが、国の公的年金制度として支給される障害年金です。障害の原因となった病気やけがの初診日や加入していた年金の種類によって、障害基礎年金・障害厚生年金・障害手当金といった形で支給される仕組みになっています。詳しい受給要件や金額は日本年金機構の公式情報(障害基礎年金を受けられるとき|日本年金機構など)を確認し、自己判断だけで諦めずに、年金事務所や社会保険労務士に相談するようにしました。

また、障害者手帳(身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳)は、お金そのものが支給される制度ではなくても、日々の出費を減らしてくれる重要な「節約ツール」です。公共交通機関の運賃割引、公営施設や美術館・映画館などの割引、携帯電話料金の割引、自動車税の減免、NHK放送受信料の減免など、自治体や事業者ごとにさまざまな優遇があります。私たちは、自治体の福祉窓口でパンフレットを集めたり、公式サイトを確認しながら、使えるものは一つずつ洗い出していきました。

医療費や通院費 介助サービスにかかるお金

障害者と健常者カップルの家計で特徴的なのは、「医療費」「通院にかかる交通費」「介助サービスの自己負担」など、健康に関する支出が大きくなりやすいことです。これらの支出を「なんとなく」で扱うと、気づいた時には家計を圧迫していることもあるので、私たちはかなり具体的に「見える化」しています。

主な費目具体例私たちがしている対策
医療費・精神科・心療内科の診察料と薬代 ・内科や整形外科など、合併症や体調不良の受診 ・歯科治療や定期検診・自立支援医療や高額療養費制度などを利用し、自己負担の上限を把握。 ・毎月の平均額を家計簿アプリで記録し、年間の医療費を予測。 ・無駄な受診を減らすのではなく、悪化させないための「必要な受診」にはお金を惜しまないと決めている。
通院・外出の交通費・電車やバスの往復運賃 ・体調が悪いときのタクシー代 ・遠方の専門病院への新幹線・高速バス代・障害者手帳による運賃割引を最大限活用。 ・定期通院日はスケジュールをまとめ、1日で複数科を受診して交通費を抑える。 ・どうしてもタクシーが必要な日は、あらかじめ予算に組み込んでおく。
介助・福祉サービス・居宅介護(身体介護・家事援助) ・重度訪問介護・同行援護 ・短期入所(ショートステイ)・障害支援区分や所得区分に応じた自己負担上限を確認し、「どの時間帯をサービスに任せるか」を具体的に設計。 ・パートナーが仕事で不在の時間帯にヘルパーさんを入れることで、双方の負担を軽くしている。 ・自治体の担当者や相談支援専門員と定期的に面談し、必要があればサービス量を見直している。

これらの費用は、「生活費」と「特別な支出」を分けて考えると管理しやすくなりました。私たちは、毎月の固定費(家賃・光熱費・通信費・食費など)とは別に、「医療・福祉用の口座」と「予備費用の口座」を用意し、そこから医療費や福祉サービスの自己負担を支払うようにしています。こうすることで、「今月はなぜかお金が足りない」というモヤモヤが減りました。

貯金や保険 将来に向けたライフプラン

障害者と健常者カップルにとって、将来のお金の不安はとても大きなテーマです。私たちが話し合いを重ねる中で大事にしているのは、「老後のための貯金」だけでなく、「もしもの時に生活を立て直すための貯金」と「今の生活の質を守るための支出」のバランスです。

貯金については、まず「生活防衛費」として、どちらかが数か月〜半年働けなくなっても最低限暮らしていける額を目標に積み立てました。そのうえで、少額でも自動積立やつみたてNISAなどを利用し、健常者パートナー名義を中心に長期的な資産形成も進めています。障害当事者側は、体調によって収入の波が大きいため、「稼げた月に少し多めに貯金する」「無理な固定額の積立はしない」というルールにしています。

保険については、すでに障害がある状態で入れる商品は限られますが、公的医療保険(健康保険・国民健康保険)と障害年金の仕組みをまず把握したうえで、本当に不足している部分だけを民間保険で補うという考え方を取りました。例えば、入院時の差額ベッド代や家族の交通費、在宅療養に必要な備品など、公的制度でカバーしきれない部分をどうするかを、具体的なシミュレーションをしながら検討しました。

将来のライフプランを考えるとき、私たちが特に意識しているポイントは次の3つです。

  • 「どちらか一方の収入」「一つの制度」に依存しすぎない(障害年金・給与・在宅ワーク・貯金・公的扶助など、複数の選択肢を確保する)。
  • 家計の情報をどちらか一人だけが握らない(通帳やクレジットカードの明細、パスワード管理を共有し、どちらが倒れても困らないようにしておく)。
  • ライフイベントごとに「制度」と「お金」をセットで確認する(同棲・結婚・転職・引っ越し・妊娠出産・親の介護など)。

障害年金制度そのものも、物価や賃金の動向に応じて年金額が改定されることがあります(制度の概要は政府広報などでも説明されています。例:障害年金の制度をご存じですか?|政府広報オンライン)。そのため、一度もらえるようになったら「一生同じ額」とは限らないことを前提に、定期的に情報を見直しながら、パートナー同士で「これから5年・10年どう生きていきたいか」を言葉にするようにしています。

お金と仕事のリアルは、きれいごとだけでは乗り切れません。それでも、制度を知り、使えるものは遠慮なく使い、ふたりの生活スタイルに合った働き方を少しずつ組み立てていくことで、「なんとかやっていける」という実感が少しずつ増えていくと、私たちは感じています。

周囲の理解 偏見や差別とどう向き合ってきたか

職場での合理的配慮と人間関係

交際が始まってからも、私たちが一番長い時間を過ごす場所は職場でした。障害のある私にとって仕事は自己実現の場であると同時に、体調や特性が一番表に出やすい場所でもあります。そこでポイントになったのが、「合理的配慮」をどうやってお願いし、同僚との人間関係を壊さずに続けていくかという点でした。

最初の頃は、上司に障害のことをどう説明するかで何度も話し合いました。障害の診断名をどこまで伝えるか、服薬や通院の必要性、残業が続くと体調を崩しやすいことなど、プライベートな情報も含まれます。私たちは、厚生労働省が示しているような合理的配慮の考え方を参考にしながら、「必要な情報」と「伝えなくてもよい情報」を整理してから面談に臨みました(参考:厚生労働省「雇用分野における障害者への差別禁止・合理的配慮」)。

面談では、「特別扱いをしてほしいのではなく、他の社員と同じように働き続けるために、こういう配慮があればありがたいです」という言い方を意識しました。具体的には、週に一度の通院のための早退、繁忙期以外は残業を原則しないこと、音や光の刺激が強い場所での長時間作業を避けてもらうことなどです。こうしたお願いは、法律上の枠組みだけでなく、職場文化や上司の考え方にも左右される部分が大きいと感じました。

一方で、同僚からは「なんであの人だけ早く帰れるの?」「仕事量が少なくていいよね」といった陰口が聞こえてきたこともあります。そうした時には、パートナーが「それは合理的配慮というもので、ズルをしているわけではない」とさりげなく説明してくれたり、私が落ち込んでいるときに話を聞いてくれたりしました。職場での理解を一気に変えることは難しくても、身近な人が味方でいてくれることで、なんとか踏ん張ることができたと感じています。

場面お願いした合理的配慮周囲とのコミュニケーションの工夫
勤務時間通院日の早退、体調不良時の在宅勤務への切り替え事前にスケジュールを共有し、「急にいなくなる」印象を与えないようにした
業務内容長時間の立ち仕事・大きな音がする作業を減らしてもらうできないことよりも「代わりにどの業務なら貢献できるか」を具体的に提案した
人間関係突然の予定変更が苦手なことを事前に伝えるどうしても参加できない飲み会やイベントは、理由を簡潔に伝えつつ感謝の気持ちを言葉にした

こうした職場でのやり取りを通じて、「合理的配慮」は甘えでも特別扱いでもなく、同じスタートラインに立つための調整なのだと、自分たち自身も少しずつ実感できるようになりました。その感覚をパートナーと共有できたことが、仕事と生活を両立させるうえで大きな支えになっています。

友人付き合い 飲み会や旅行で困ること

職場だけでなく、友人付き合いの場面でも、障害のある・なしによるギャップを痛感することが何度もありました。特に、飲み会や旅行は「みんなと同じペースで楽しむこと」が前提になりがちなため、体力や感覚の過敏さ、移動のしづらさなどがあると、参加自体をためらってしまうことがあります。

たとえば会社の飲み会では、居酒屋の段差や狭い通路、喫煙スペースからの煙、長時間座りっぱなしの姿勢など、細かい負担が積み重なります。私はアルコールが飲めず、騒がしい環境も苦手なので、飲み会のたびに「行くかどうか」「途中で帰ってもいいか」をパートナーと相談していました。多くの場合、一次会の途中まで参加して、体調が悪くなる前に帰るというパターンに落ち着きましたが、「途中で帰るのは失礼ではないか」「付き合いが悪いと思われないか」という不安は、ずっと心のどこかにありました

友人との旅行でも同じような悩みがあります。観光地を一日で何か所も回るハードなスケジュールや、深夜までのドライブ、温泉施設の段差や滑りやすい床など、体力や障害の特性を考えると不安な場面が多くあります。そうしたとき、私たちが心がけているのは、「参加できないから諦める」のではなく、「自分たちに合う形で参加する方法を一緒に探してもらう」ことです。

シチュエーション困りごと私たちが実際に取った工夫
会社の飲み会大きな音・タバコの煙・長時間の参加が負担最初に顔を出して早めに帰ることを幹事に伝え、パートナーも一緒に早めに切り上げてくれた
友人との旅行長時間移動と過密スケジュールがつらい一日あたりの移動距離を短くする提案をし、休憩の多い観光プランを事前に共有した
宿泊先選び段差の多い旅館やエレベーターのない宿が不安事前にバリアフリー情報を確認し、必要があれば車いすでも動きやすいビジネスホテルを選択した

もちろん、すべての友人が最初から理解してくれたわけではありません。「そんなに気にしなくていいよ」「若いんだから大丈夫でしょ」と悪気なく言われ、悲しくなったこともあります。それでも、「実はこういう理由で、無理をすると数日寝込んでしまうことがある」と具体的に伝えると、多くの友人は少しずつ歩み寄ってくれました。理解してくれる人が一人、また一人と増えていくことで、「全部に参加できなくても、自分たちなりのペースで人付き合いを続けていけばいい」と思えるようになりました。

子どもと妊娠出産をめぐる悩みと選択

障害のある当事者と健常者のカップルにとって、子どもを持つかどうかは、恋愛や結婚以上に大きなテーマになります。「遺伝のことは?」「妊娠や出産に耐えられる体調なのか?」「育児は現実的にやっていけるのか?」といった悩みが一度に押し寄せてきて、簡単に答えを出せないことがほとんどです。

また、日本では周囲からの「結婚したなら次は子どもだね」という何気ない言葉や、実家や親戚からの期待、職場でのキャリアとの両立など、障害の有無にかかわらずプレッシャーがあります。そこに障害特有のリスクや不安が重なることで、カップルによっては深刻に悩み込んでしまうこともあります。

ここでは、私たち自身が向き合ってきた「子ども」「妊娠」「出産」に関する悩みと、その中で選んだ考え方や話し合いのポイントを、できるだけ具体的にまとめます。同じように悩んでいるカップルが、自分たちなりの答えを見つけるときの参考になれば幸いです。

子どもを持つかどうかふたりで話し合ったこと

まず向き合ったのは、「そもそも私たちは子どもがほしいのか?」という根本的な問いでした。世間の常識や親からの期待ではなく、自分たちの価値観・生活スタイル・体調・経済状況を一つずつ確認しながら話し合うことが大切でした。

最初に話し合ったとき、私たちは次のようなポイントを紙に書き出して整理しました。

テーマふたりで話し合った主な内容
気持ち・本心として子どもが「ほしい」のか、「いてもいなくてもいい」のか、「今は考えられない」のかを率直に共有。 ・どんな家族像を描いているのか、それが子どもの有無とどう関係するのかを話した。
健康面・妊娠出産を乗り切るだけの体力があるか、主治医から妊娠についてどのように説明されているか。 ・障害や服薬が妊娠・出産・授乳に与える影響について、これまでに聞いている情報を整理。
経済面・現在の収入、障害年金や各種手当を含めた家計の状況を把握。 ・将来の教育費、医療費、住居費など、ざっくりとしたライフプランを共有。
サポート・親やきょうだい、地域の支援、福祉サービスなど、どこまで頼れそうかを話し合った。 ・「すべてをふたりだけで抱え込まない」前提を共有した。
仕事と生活・妊娠・出産後の働き方(産休・育休、時短勤務、在宅ワークなど)と収入への影響を確認。 ・育児期の生活リズムの変化に、障害当事者・健常者パートナーそれぞれがどこまで対応できそうかをイメージした。

こうした話し合いの中で重要だったのは、「子どもを持つかどうか」は白黒はっきりさせなければいけない問題ではなく、時間をかけて考え続けてよいテーマだとお互いに確認することでした。一度「持たない」と決めても、気持ちが変わるかもしれませんし、反対に「ほしい」と思っていても、健康状態や生活状況の変化で考え直すこともあります。

周囲からの「早く孫の顔が見たい」「年齢的に急いだほうがいい」といったプレッシャーに押されそうになることもありますが、最終的な選択をするのはあくまでふたりであり、そのペースを尊重することを何度も確認しました。

妊娠出産に関するリスクと主治医との相談

次に向き合ったのは、妊娠や出産そのものに関するリスクでした。障害の内容や重さ、持病や服用中の薬によって、妊娠や出産が体に与える影響は大きく変わります。そこで私たちは、自己判断ではなく必ず主治医や産婦人科医と相談しながら、一つずつ情報を確認していくことにしました。

主治医に相談したときに、具体的に聞いたこと・話したことの例は次のようなものです。

相談した内容主治医と話し合ったポイント
妊娠の可否・今の病状・体力で妊娠が可能かどうか。 ・妊娠中に症状が悪化しやすいか、妊娠中に控えたほうがよい行動や環境があるか。
薬との関係・服薬中の薬が胎児にどんな影響を与える可能性があるのか。 ・妊娠を考える場合、薬の種類や量の調整が必要かどうか、その際のリスクと代わりの治療法。
出産方法・自然分娩と帝王切開、それぞれの場合の負担やリスク。 ・障害特性(体力・筋力・感覚・精神面など)に応じた出産時のサポート体制。
産後の体調・出産後に症状が悪化しやすいタイミングや、気をつけるべきサイン。 ・産後の通院や服薬の計画、授乳との両立の可否。

こうした医療的な情報をふまえて、「絶対に無理」なのか「条件付きなら可能」なのか「リスクはあるが挑戦したいのか」など、現実に即した選択肢を夫婦で共有することができました。

妊娠や出産に関する公的な情報は、自治体の母子保健の窓口や、地域の保健センター、産婦人科などで得ることができます。また、不安が大きい場合は、医療ソーシャルワーカーや相談支援専門員に同席してもらい、説明をかみ砕いてもらう方法もあります。

私たちが意識したのは、「妊娠出産のリスクをゼロにすることはできないが、情報を知らないまま怖がりすぎることも、楽観しすぎることも避ける」というバランスです。数字や確率だけを聞くと不安になりますが、自分たちの生活やサポート体制をふまえたうえで、どう感じるか・どう選ぶかをじっくり話し合うようにしました。

育児と障害 体力 面倒を見る体制の現実

たとえ妊娠・出産が医師から「大きな問題はない」と言われたとしても、次に考えなければならないのは、日々の育児を現実的に回していけるかどうかという点でした。赤ちゃんのお世話は24時間体制で続き、夜泣きや授乳、病気の看病などが重なると、健常者の親でも心身ともに追い込まれることがあります。

そこで私たちは、「理想の育児」ではなく、「いまの自分たちにとって現実的な育児」のイメージを優先して話し合いました。具体的には、次のような観点から整理しました。

項目具体的に考えたこと
体力・生活リズム・障害当事者側の「体調が悪くなりやすい時間帯」や「無理が利かない曜日・季節」などを洗い出した。 ・夜間の授乳や寝かしつけを、どちらがどの程度担当できそうかをシミュレーションした。
家事・育児の分担・おむつ替え、ミルク、入浴、通院付き添いなどの具体的なタスクをリストアップ。 ・体調が悪いときに「最低限ここだけは健常者パートナーにお願いする」という優先順位を決めた。
サポート体制・里帰り出産が可能か、親がどの程度サポートに入れるか、頼れない場合に使える外部サービスを確認。 ・地域の子育て支援センター、一時預かり、ヘルパーやベビーシッターなどの情報を事前に調べた。
仕事との両立・健常者パートナーがどこまで育児休業や時短勤務を利用できるかを会社の制度で確認。 ・当事者側の働き方(在宅ワーク・短時間勤務など)をどう調整できそうかを検討した。

こうして整理してみると、「ふたりだけで完璧にこなす」前提ではとても無理でも、「サービスや周囲の助けを前提にする」ことで現実的になる部分もあると感じました。一方で、「どうしても無理が出る局面」もはっきり見えてきて、その場合は子どもを持つタイミングを遅らせる、あるいは持たない選択肢も含めて検討するようになりました。

私たちにとって大切だったのは、「親になる資格があるのか」と自分を責めるのではなく、「どんな環境なら親子ともに無理なく暮らせるか」を一緒に考える視点を持つことでした。障害があっても、助けを借りながら子育てをしている家庭はたくさんありますし、どの家庭にもそれぞれの工夫と限界があります。

子どもがいない選択をしたカップルの生き方

十分に話し合いと情報収集を重ねたうえで、「子どもを持たない」という選択をするカップルもいますし、その選択は決して「逃げ」でも「負け」でもないと私たちは考えています。障害の有無にかかわらず、「子どもを持たない人生」を選ぶ夫婦やパートナーは増えており、その生き方にはその人たちなりの喜びや充実があります。

私たちが意識したのは、次のようなポイントでした。

  • 「子どもがいないからこそできる生活設計」を具体的に描くこと。たとえば、ふたりの趣味や学びに時間やお金を使う、ペットと暮らす、地方移住やコンパクトな暮らしを選ぶなど、自分たちが心から大切にしたいものを中心にライフプランを組み立てました。
  • 老後や介護の不安についても、早めに情報を集めておくこと。地域包括支援センターや福祉の相談窓口で、将来利用できるかもしれないサービスや住まいの形(サービス付き高齢者向け住宅など)について話を聞き、漠然とした不安を少しずつ具体化していきました。
  • 周囲からの「子どもはまだ?」という言葉にどう対応するか、あらかじめふたりで方針を決めておくこと。「今は考えていません」とだけ伝えるのか、信頼できる相手には理由を説明するのか、状況に合わせて使える言い回しをいくつか用意しておくと、毎回傷つかずに済むと感じました。

何よりも大切なのは、「子どもがいないから不完全な家族」という考え方から距離を置き、自分たちが納得して選んだ形を大切にすることだと思います。社会の価値観や親世代の常識と違う選択をすると、不安や迷いはどうしてもつきまといますが、それでも最終的にその人生を生きるのは自分たちです。

障害がある・ないにかかわらず、子どもを持つかどうかは、とても個人的で繊細なテーマです。他人の価値観や「こうあるべき」に振り回されすぎず、ふたりで何度も対話を重ねながら、「今の自分たち」にとって最善だと思える選択を積み重ねていくことが、結果的にカップルとしての土台を強くしてくれると感じています。

障害者 健常者カップルが長続きするためのコツ

障害のある人と健常者のカップルが長く関係を続けていくためには、「特別なテクニック」よりも、日常の小さなすれ違いを放置しないことと、お互いの「人としての尊重」を徹底することが大切です。この章では、長続きするために私たちが意識している考え方や、実際にうまくいった工夫を、できるだけ具体的に紹介します。

「介助」と「依存」を混同しないための考え方

障害者と健常者のカップルにとって、「介助する/される」という要素が関係に入りやすいのは自然なことです。ただ、介助が増えるほど、どこまでがパートナーとしての支えで、どこからが過度な依存なのかが分かりにくくなるという難しさがあります。

そこで私たちは、付き合い始めたころから、「介助」と「依存」を区別するためのルールや考え方を共有してきました。特に大事にしているのは、次の3つです。

ポイント考え方具体的な行動例
1. 本人の意思と主体性を尊重する「できないこと」を手伝うのではなく、「どうしたいか」を確認してからサポートする。外出先で疲れていそうなときに、勝手に予定をキャンセルするのではなく、「少し休憩して続ける? それとも今日は帰る?」と本人に選んでもらう。
2. 介助と家事・感情ケアを混同しない身体的・精神的な介助と、生活の家事やメンタル面のケアを分けて考え、負担の偏りを見える化する。週に1回、どのくらい介助したか・家事をしたか・精神的なフォローをしたかを一緒に振り返る時間をつくる。
3. 「手伝ってもらうこと」に罪悪感を抱きすぎない介助はあくまで「愛情と信頼のかたち」の一つと捉え、遠慮し過ぎて体調を崩さないようにする。「申し訳ない」よりも「助かった」「ありがとう」を意識して口に出す。相手の負担を減らす代わりに、家事や情報収集など、別の形で役割を担う。

また、健常者側が一方的に「支える側」になり過ぎると、いつのまにか親子関係のような上下関係になってしまうこともあります。そのため、私たちは次のようなサインが出てきたときは要注意だと考えています。

  • 「どうせ私がやらないと回らない」と健常者側が感じ始めている。
  • 障害のある側が「迷惑をかけている」という罪悪感から、意見を言えなくなっている。
  • 話し合いのとき、「あなたのためにやってきたのに」というセリフが増えてきた。

こうしたサインに気づいたときには、「どこからどこまでを介助としてお願いしたいか」「それ以外は対等なパートナーとして一緒に考えたい」という線引きを、あらためて話し合うようにしています。

喧嘩になりにくいコミュニケーションの工夫

障害の有無にかかわらず、カップルにとってコミュニケーションは命綱のようなものですが、障害者と健常者のカップルの場合、「体調の波」や「感覚の違い」が大きく影響し、ちょっとした一言が大きなすれ違いにつながりやすいという特徴があります。

私たちが実践している、喧嘩になりにくいコミュニケーションのコツをいくつか紹介します。

「事実」と「感情」を分けて話す

感情が高ぶっているときほど、「あなたはいつも」「どうせ分かってくれない」といった言い方になりがちです。そこで私たちは、けんかになりそうなときほど、次の順番で話すように心がけています。

  1. まず「事実」をできるだけ主観を交えずに伝える。
  2. その事実に対して、自分がどんな感情を抱いたかを伝える。
  3. これからどうしていきたいか、提案やお願いを伝える。

例えば、「通院の付き添いに来てくれなかったこと」がつらかったときには、「また来てくれなかった!」と怒るのではなく、「昨日の通院に一人で行ったとき、途中で不安になってすごく心細かった。できれば、次回は一緒に来てほしい」と伝えるようにしています。

「体調」と「メンタルの状態」を共有する習慣をつくる

障害のある側は、体調やメンタルの状態によってできること・できないことが日によって大きく変わる場合があります。しかし、何も言わなければ、健常者のパートナーには伝わりません。

そこで私たちは、1日の始まりや帰宅後に、次のような簡単なやり取りを習慣にしています。

  • 「今日は体調10点満点中で言うと何点くらい?」
  • 「今の気分は、カンカン照り/曇り/雨/雷のどれに近い?」
  • 「今晩は、静かに休みたい? それとも少し話を聞いてほしい?」

こうしたシンプルな共有だけでも、「今日は無理をさせないほうがいいな」「今は話し相手が必要そうだな」といったことが事前に分かり、不要な衝突をかなり防ぐことができました。

LINEやメールではなく、できるだけ対面で話す

体調が悪いときはメッセージでやりとりを済ませたくなりますが、文字だけの会話は、ニュアンスの行き違いが起きやすく、障害や体調への配慮をめぐる誤解につながりやすいです。

私たちは、「すれ違いが起きたかな?」と感じたら、なるべく早いタイミングで、顔を見て話す時間をつくるようにしています。難しい場合でも、電話やビデオ通話に切り替え、「文字だけで責め合わない」ことを共通ルールにしました。

「ありがとう」と「ごめんね」をセットで伝える

介助や配慮が必要な場面が多いほど、「申し訳なさ」や「やってもらって当然」という気持ちが溜まりやすくなります。そこで私たちは、意識的に次のような言い方をしています。

  • 「今日は付き添いしてくれてありがとう。長時間歩かせてごめんね。」
  • 「体調が悪くて急にドタキャンしてごめん。理解してくれてありがとう。」

「ありがとう」と「ごめんね」をセットで伝えることで、どちらか一方だけが我慢している、という空気になりにくくなりました。

カウンセリングや夫婦カウンセリングの活用

パートナーとの関係が行き詰まりそうなとき、私たちはカウンセリングを「最後の手段」ではなく、「早めのメンテナンス」として利用するようにしています。精神科・心療内科のカウンセリングや、公的機関・民間団体が行う家族向け相談など、利用できる窓口は少しずつ増えてきています。

カウンセリングを利用する際に意識していることは、次の通りです。

  • 「悪者探し」をする場ではなく、「二人が楽に暮らすための作戦会議」として捉える。
  • お互いに言いにくいことを、第三者の前で少しずつ言葉にしていく。
  • 「障害」そのものではなく、「障害のある生活」「その中での気持ちの揺れ」に焦点を当ててもらう。

特に、感情のコントロールが難しくなっているときや、パートナーの支えだけでは限界を感じるときには、専門家の視点が入ることで、「こういう関わり方もあるんだ」と視野が広がることが多いと感じています。

一人時間 趣味 友人関係を大切にする理由

障害者と健常者のカップルは、通院や介助、体調のフォローなどで一緒に過ごす時間が多くなりがちです。しかし、「常に一緒にいる」ことが必ずしも良い結果を生むわけではなく、それぞれの一人時間や趣味、友人関係を保つことが、結果的に二人の関係を安定させると感じています。

「全部を背負わない」ための一人時間

健常者側は、「自分がそばにいないと不安」「全部支えなければ」という気持ちから、予定や趣味を制限してしまうことがあります。一方で障害のある側も、「一人にされるのが怖い」「見捨てられるのでは」という不安から、パートナーの外出に罪悪感を抱かせてしまうこともあります。

そうならないように、私たちはあらかじめ次のことを話し合いました。

  • 週にどのくらいは「それぞれの時間」を優先したいか。
  • 一人時間のあいだ、連絡はどの程度取り合うか(緊急時のみ/数時間ごとに連絡/自由など)。
  • 緊急時の連絡方法や、体調が急変したときの連絡先。

こうしたルールがあることで、お互いに罪悪感を抱きすぎることなく、一人の時間を安心して過ごせるようになりました。

趣味や好きなことを「互いに理解しつつ干渉しすぎない」

趣味は、ストレスを発散し、自分らしさを取り戻す大切な時間です。私たちは、お互いの趣味について最低限の理解を持つ一方で、「興味がないことに無理に付き合わない」「楽しみ方に口を出し過ぎない」ことを意識しています。

例えば、片方はゲームが好きで、もう片方は読書や散歩が好きな場合、それぞれの時間を尊重しながら、時々は一緒に楽しめる要素(ゲームの話を聞く、本を紹介し合う、散歩に付き合ってもらうなど)を取り入れるようにしています。

実際に役立った制度 サービス 知っておきたい情報

障害者と健常者カップルとして暮らしていくうえで、どの制度やサービスを知っているかどうかは、そのまま生活の安心感や金銭的な余裕につながりました。ここでは、私たちが実際に利用して「もっと早く知りたかった」と感じたものを中心に、カップル目線で整理して紹介します。

制度の内容や名称、自己負担の割合などは、自治体や利用する時期によって変わることがあるため、最終的にはお住まいの自治体や窓口、公式サイトで最新情報を確認することをおすすめします。

障害者手帳で利用できる割引や支援

障害者手帳(身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳)は、単なる身分証ではなく、生活費を大きく助けてくれる「割引の鍵」のような存在でした。カップルで出かけるときや、固定費を見直したいときに、具体的にどんな場面で役立ったかをまとめます。

利用シーン主な内容パートナーへの適用有無利用時のポイント
公共交通機関電車・バス・地下鉄・有料道路・フェリーなどで、運賃の割引や無料乗車証を利用できる場合があります。介助者も割引や無料対象となるケースがあります。割引率・対象路線・介助者の扱いは事業者ごとに異なるため、事前に各社の公式サイトや窓口で確認しました。
文化・娯楽施設美術館・博物館・水族館・遊園地・映画館などで、入館料や入場料が割引または無料になることがあります。同伴者1名まで割引対象になる施設も多く、カップルでの外出時に助かりました。公式サイトの「料金」や「バリアフリー情報」の欄に、障害者割引の記載があることが多いです。
NHK受信料一定の条件を満たすと、NHK放送受信料の全額または半額免除を受けられる制度があります。世帯単位の制度のため、同じ世帯の健常者パートナーも含めて家計全体の負担が軽くなりました。障害者手帳や住民票などが必要になることが多く、事前に必要書類を整理してから申請しました。
通信・水道光熱一部の携帯電話会社の障害者向け割引プランや、水道料金等の減免制度がある自治体があります。世帯としての契約に適用される場合は、健常者パートナーが契約者でも恩恵を受けられます。「障害者割引」「ハートフルプラン」などの名称で、各社・各自治体の公式サイトに掲載されています。

私たちの実感として、障害者手帳の等級や種類によって使える制度が変わるため、「自分は何級だからあまり使えない」と決めつけず、必ず自治体の障害福祉担当窓口で一覧を確認するようにしました。

障害者手帳そのものの概要や制度の基本は、厚生労働省の公式情報(厚生労働省公式サイト)で確認できます。そこから、さらにお住まいの自治体のサイトに進んで、地域ごとのサービス内容を詳しく見る流れが安心でした。

自立支援医療 相談支援 生活支援センター

障害のあるパートナーと暮らすうえで大きかったのが、医療費と日常生活を「ひとりで抱え込まない仕組み」に乗せることでした。自立支援医療制度や相談支援事業、生活支援センターは、そのための土台になったと感じています。

自立支援医療(精神通院・更生・育成医療など)

自立支援医療制度は、障害のある人が継続して治療や通院を行えるよう、医療費の自己負担を原則1割に軽減する制度です。私たちの場合、精神科への定期通院や薬代が対象になり、月々の家計に大きな余裕が生まれました。

主な対象内容利用時の注意点
精神通院医療うつ病・双極性障害・統合失調症・発達障害などで、通院による精神医療(カウンセリング含む場合あり)を受ける人が対象となる制度です。指定医療機関のみが対象となるため、主治医や病院の窓口で「自立支援医療の指定医療機関かどうか」を確認しました。
更生医療・育成医療手術や装具、補装具など、障害のある人の機能の維持・向上に必要な医療費の一部を助成する制度です。対象となる医療の範囲が決まっているため、事前に自治体の窓口へ相談してから手続きを進めました。

申請や更新の手続きはやや複雑に感じますが、主治医と相談しながら早めに準備することで、切れ目なく支援を受けることができました。制度の詳しい情報は、厚生労働省の情報ページ(自立支援医療制度に関する案内)が参考になりました。

相談支援事業(計画相談・地域相談支援など)

相談支援事業は、障害のある人と家族が、どのサービスをどう組み合わせて使うかを一緒に考えてくれる専門職の仕組みです。私たちカップルの場合も、同棲のタイミングや仕事との両立で行き詰まったときに、相談支援専門員に話を聞いてもらいました。

  • 障害福祉サービス(居宅介護・就労支援・ショートステイなど)を利用するときの「サービス等利用計画」の作成
  • 同棲や結婚、転居のタイミングで、「どの支援をどの地域で受けられるか」の整理
  • 家族やパートナーとの関係で悩んだときの、第三者としての意見や調整

相談支援は原則として無料で利用できる場合が多く「どの制度を使えばいいか分からない」ときにまず話を聞いてもらう窓口として、とても心強い存在でした。

地域生活支援センター・生活支援センター

地域生活支援センター(名称は自治体によって異なります)は、日常生活や人間関係、仕事やお金の悩みなどを気軽に相談できる場でした。電話相談・来所相談のほか、居場所的なスペースや交流会を設けているところもあります。

  • 「パートナーとうまく話し合えない」「同棲を始めてからしんどい」といった気持ちの整理
  • 障害福祉サービスの情報収集や、他の相談機関の紹介
  • 当事者や家族が参加できる小規模な交流会・講座の案内

私たちは、カップルだけで抱え込まないための「第三の居場所」として、生活支援センターを活用しました。自治体の公式サイトで「障害 相談窓口」「地域生活支援センター」と検索すると、担当窓口や連絡先が見つかることが多いです。

自治体の制度や福祉窓口の活用方法

障害福祉の多くは、住んでいる市区町村が窓口になります。同じ日本国内でも、自治体によって利用できるサービスや助成金の内容が違うため、「引っ越したら制度が変わった」ということも珍しくありません。

私たちカップルが実際に行って効果があった、「自治体との付き合い方」のポイントを紹介します。

まず「障害福祉担当課」を味方につける

市役所・区役所・町村役場には、多くの場合「障害福祉課」「福祉保健課」「保健福祉センター」など、障害に関する窓口があります。私たちは、同棲や結婚を具体的に考え始めたタイミングで、ふたりで一緒に窓口へ行き、将来の生活像をざっくり伝えたうえで使えそうな制度を教えてもらいました

  • 現在の障害の状況・仕事・収入・住まいの形(同棲予定かどうか)を簡単に整理してメモにして持参
  • 「同棲したら利用できるサービスが変わるか」「結婚したらどんな手続きが必要か」を質問
  • パンフレットや制度の一覧表をもらったら、自宅でパートナーと一緒に読み返す

担当者によって説明の仕方や情報量は違いますが、「また来てもいいですか?」と伝えて、相談しやすい関係を少しずつつくることが、長い目で見ると大きな安心につながりました。

自治体独自の助成・サービスをチェックする

国の制度に加えて、自治体ごとに独自の支援が用意されている場合があります。例えば、次のようなものです。

  • タクシー券やバス回数券などの移動支援
  • 日常生活用具の給付(シャワーチェア、特殊マットレス、意思伝達装置など)
  • 重度障害者医療費助成制度などの医療費助成
  • ホームヘルプサービス・家事援助・同行援護などの在宅支援

これらは、同じ名称でも対象者や自己負担額が自治体によって異なります。引っ越しや同棲・結婚で住所が変わるときは、必ず新しい自治体の制度を確認するようにしました。

オンラインコミュニティ・SNSの活用

近くに合う会が見つからないとき、役に立ったのがオンラインコミュニティやSNSでした。障害種別ごとのコミュニティ、家族・パートナー向けのグループ、匿名で参加できる掲示板など、物理的な距離を超えて気軽につながれる場が増えています。

  • 同じような悩みを抱える人の体験談を、時間や場所を選ばずに読める
  • 「障害者×健常者カップル」「発達障害のパートナーを支える」など、より近いテーマの情報を探せる
  • 自分のペースで情報の取捨選択ができる

一方で、匿名性の高さゆえに、心ないコメントや極端な意見に触れてしまうリスクもありました。私たちは、公式な情報は行政や公的機関のサイト(例:内閣府 障害者政策関連ページ)で確認し、オンラインコミュニティは「生の声を参考程度に聞く場所」と位置づけるようにしました。

これから障害者 健常者カップルを目指す人へのメッセージ

ここまで読んでくださったあなたは、おそらく「障害があっても、健常者と対等なパートナーシップを築きたい」、あるいは「障害のある相手を支えながら、一緒に人生を歩みたい」という思いを持っているのではないでしょうか。

私たち自身もそうでしたが、障害者と健常者カップルを目指すとき、多くの人が「相手に負担をかけてしまうのでは」「本当に幸せになれるのか」と不安を抱えます。一方で、周囲からの偏見や制度の壁によって、スタートラインに立つ前から諦めてしまう人も少なくありません。

ここでは、これから出会いを探そうとしている人、すでに交際していて同棲や結婚に踏み出すか迷っているカップル、そして壁にぶつかって苦しくなっているふたりに向けて、私たちの経験からのメッセージをまとめました。どれも特別なテクニックではなく、明日からの一歩を少しだけ軽くするための具体的な考え方や行動です。

出会いを探している人に伝えたいこと

まず「そもそも出会いがない」と感じている人に伝えたいのは、出会いの数そのものよりも「自分の状態を理解してくれる人と出会える場」をどう増やすかを考えてほしい、ということです。

障害があると、体調や移動の制限、通院のスケジュール、金銭面の不安などから、合コンや街コンのような「数を打つ」出会い方は現実的でないことも多いです。それでも、次のような場所やサービスをうまく使うことで、無理なく出会いのチャンスを広げていくことはできます。

出会いの場・サービスメリット注意点・コツ
マッチングアプリ自分のペースでメッセージができるため、体調や通院スケジュールに合わせやすい。プロフィール項目が多いアプリなら、価値観やライフスタイルで相手を探しやすい。「障害についてどこまで書くか」を事前に決めておくと迷いにくくなります。最初から詳しく書きすぎる必要はありませんが、「通院中」「配慮が必要なことがあります」などの一文を入れておくと、後から打ち明けるハードルが下がります。
趣味サークル・オンラインコミュニティ自分の好きなことを通して自然に会話が生まれやすく、障害の有無だけで判断されにくい。オンラインなら、外出が難しい人でも参加しやすい。最初は恋愛目的を前面に出しすぎず、「まずは人として仲良くなる」ことを意識すると気持ちが楽になります。オンラインのコミュニティでは、安全性の高い場かどうかを見極めることも大切です。
当事者会・家族会障害や病気についての理解が最初からあるため、病名や症状、通院などの話題をオープンにしやすい。カップルで参加している人もいる会では、具体的なロールモデルと出会えることもあります。あくまで「情報交換・ピアサポートの場」であり、恋愛目的だけで参加すると雰囲気と合わないことがあります。ルールや雰囲気を尊重しつつ、「同じような悩みを持つ人とつながる」ことを主な目的にするのがおすすめです。
就労移行支援事業所・障害者雇用の職場生活リズムや体調管理に理解がある環境で、日常的に顔を合わせるため、信頼関係を築きやすい。スタッフに悩みを相談できることもあります。同じ事業所内や職場での恋愛は、うまくいかなかったときの気まずさも大きくなります。仕事や訓練を優先しつつ、期待しすぎず自然な距離感を保つことが大切です。

どの出会い方を選ぶにしても、意識してほしいのは「障害を隠しきる」「完全にオープンにする」など極端にならず、段階的に伝えていくというスタンスです。相手との信頼関係が少しずつ育っていくのと同じように、障害のことも「相手が知る準備ができたタイミング」を見ながら共有していければ十分です。

また、「相手に選ばれる自分にならなければ」と頑張りすぎてしまう人も多いですが、本当に長く続く関係は、お互いが「無理をしすぎない自分」でいられるかどうかが重要です。障害の有無にかかわらず、ひとりの人間として大切にしている価値観(仕事観、家族観、お金の使い方、生活リズムなど)を、プロフィールや会話の中で少しずつ伝えていってみてください。

障害に関する基礎的な情報を整理したいときは、厚生労働省の公式サイトや、NHKハートネットなどの公的・公共の情報源も参考になります。まずは自分自身が、自分の障害について落ち着いて説明できるようになっておくと、出会いの場でも安心感をもって振る舞いやすくなります。

同棲や結婚を迷っているカップルへのアドバイス

すでにお付き合いをしていて、同棲や結婚を考え始めているカップルにとって、「この決断をして本当に大丈夫だろうか」という不安はとても自然なものです。特に、障害がある側は「相手の人生を縛ってしまうのでは」と感じやすく、健常者側は「どこまで自分が支えられるのか」「経済的に成り立つのか」と悩みがちです。

迷っているときほど、勢いではなく「具体的なシミュレーション」と「話し合いの質」を大切にしてほしいと思います。以下のようなポイントを、ノートやメモアプリなどを使って一緒に整理してみてください。

テーマ話し合うポイント確認しておきたい現実
お金・収入毎月の固定費(家賃・光熱費・通信費)、食費、医療費をどのように分担するか。障害年金や手当を生活費にどこまで組み込むか。障害年金や手当は「将来ずっと同じ金額が出る」とは限らないことを前提に、片方の収入だけに過度に依存しないプランを考えることが大切です。
家事・介助できる家事・難しい家事を書き出し、「完全な50:50」ではなく、できる範囲と頻度で分担を決める。介助と家事を混同せず、「お願いすること」「一緒にやること」を分けて考える。最初から完璧なバランスを求めず、定期的に「家事・介助の振り返りミーティング」をする前提でスタートすると、どちらかが我慢し続ける状態を防ぎやすくなります。
体調・通院通院の頻度や時間帯、服薬のスケジュール、体調が悪化しやすいタイミング(季節・ストレス要因など)を共有する。付き添いが必要な場面と、ひとりで行く場面をあらかじめ決めておく。健常者側も、仕事の繁忙期や自分自身の疲れやすさについて正直に話しておくことで、「いつも必ず付き添わなければならない」というプレッシャーを減らせます。
家族・親戚両親や親戚が障害についてどの程度理解しているか、どんな反応が予想されるかを率直に共有する。実家との距離感(物理的・心理的)と、将来の介護などへの考え方を話し合う。親の理解を得ることは大切ですが、最終的に結婚生活を送るのはふたりです。親の希望をすべて叶えるのではなく、「ふたりの暮らしを守るためにできる説明や配慮」を一緒に考えてみてください。

同棲や結婚は、「覚悟を決める」よりも、「困ったときに一緒に立ち止まって考え直せる関係になれるかどうか」を確認するプロセスでもあります。話し合いの中で、「これはまだ決めなくていい」「このテーマは半年後にもう一度話そう」などと、期限を区切って保留することも、立派な選択です。

結婚に伴う戸籍や障害者手帳、障害年金などの手続きについては、お住まいの自治体や厚生労働省 障害福祉関連情報などで最新の情報を確認できます。制度は変更されることもあるため、ネットの体験談だけで判断せず、役所の窓口や相談支援専門員にも具体的に相談してみることをおすすめします。

そして何よりも、「迷っている自分たち」を責めないでいてほしいと思います。迷うのは、相手のことを大切に思っている証拠でもあります。その気持ちを出発点に、「どうしたら今より少し安心して一緒に生きていけるか」を、ふたりでゆっくり時間をかけて話し合ってみてください。

うまくいかないときに試してほしい小さな一歩

どれだけお互いを思いやっていても、障害者と健常者カップルの暮らしには、体調の波や環境の変化、周囲の無理解など、さまざまな「うまくいかない時期」がやってきます。そのたびに「自分たちは向いていないのでは」と落ち込んでしまいがちですが、大きな決断をする前に、まずは試してみてほしい「小さな一歩」があります。

ひとつ目は、「今すぐ変えられること」と「すぐには変えられないこと」を紙に書き出して分けてみることです。たとえば、「通院の頻度」や「服薬内容」はすぐには変えられませんが、「通院日の前日は予定を詰めすぎない」「診察で聞きたいことをメモしておく」といった工夫は、今日からでも始められます。ふたりで一緒に書き出すことで、「自分たちは何もできていないわけではない」という感覚を取り戻しやすくなります。

ふたつ目は、カップルだけで解決しようとしないことです。主治医やカウンセラー、相談支援専門員、精神保健福祉士、医療ソーシャルワーカーなど、第三者に話を聞いてもらうことで、解決策が見えてくることがあります。医療機関や自治体の相談窓口によっては、家族やパートナーも一緒に話を聞いてもらえる場合もありますので、主治医や窓口で確認してみてください。

三つ目は、「ふたりの時間」と同じくらい「それぞれの一人時間」を意識的に確保することです。障害がある側も健常者側も、相手のことを思うあまり、つい「常に一緒にいなければ」「支えなければ」と頑張りすぎてしまいます。しかし、趣味や友人関係、一人でぼんやりする時間は、長い目で見ると関係を守るための大事な「充電時間」です。

もし、喧嘩やすれ違いが続いて疲れてしまったときは、いきなり別れや同棲解消を選ぶ前に、次のような小さなステップを試してみるのもひとつの方法です。

  • 「1週間だけ、相手に期待することを1つだけに絞ってみる」(例えば「今日は帰る前にLINEを1通だけ送ってほしい」など、具体的で小さなこと)
  • 「不満や要求」ではなく、「嬉しかったこと・助かったこと」を1日1つだけ伝える(言えなかった日は自分を責めず、思い出した日にまとめて伝えてもOKとする)
  • 「この話題をすると喧嘩になりやすい」というテーマを書き出し、一度ふたりで「話し合い方のルール」を決め直す(時間制限を設ける、相手の発言を遮らない、責め言葉ではなく「私はこう感じた」と主語を自分にする、など)

また、「自分たちだけが特別に大変なのでは」と孤立感を抱いているときは、同じような立場の人の声に触れることで少し楽になることがあります。たとえば、障害や病気に関する体験談が集まるNHKハートネットなどのサイトには、多様な家族やカップルの物語が紹介されています。すべてが自分たちに当てはまるわけではありませんが、「似たような悩みを抱えながら続いているカップルもいる」という事実は、現実的な希望につながります。

最後にお伝えしたいのは、「完璧なカップル」や「理想的な支え方」を目指さなくていいということです。障害のある・なしにかかわらず、どのカップルも失敗しながら、自分たちなりの距離感や役割分担を見つけていきます。うまくいかない日や、言い過ぎてしまった夜があっても、それだけで関係が終わるわけではありません。

今日、少しだけ勇気を出して相手に気持ちを伝えたこと、病院や役所の窓口に一緒に足を運んだこと、疲れている自分に「無理しなくていいよ」と言えたこと。そうした小さな一歩の積み重ねが、障害者と健常者カップルとしての現実的な「幸せ」を形作っていくのだと思います。あなたとあなたの大切な人が、自分たちらしいペースで歩んでいけることを、心から願っています。

まとめ

障害者と健常者の恋愛や結婚は、特別な物語ではありません。


義足パパ自身も、出会い、交際、同棲、結婚という一つひとつの選択を、相手と話し合いながら進んできました。大切なのは「障害があるかどうか」よりも、どんな価値観で、どんな暮らしを一緒につくりたいかでした。

出会いの場では、「障害のことをいつ、どう伝えるか」で悩むこともありました。無理に早く話す必要も、隠し続ける必要もなく、信頼できる相手に自分の言葉で伝えることが、結果的に関係を安定させてくれたと感じています。

交際や同棲が始まると、移動や体調、お金、家事分担など、生活の現実が見えてきます。ここで大切なのは、「かわいそうだから助ける」ではなく、ふたりで暮らしをつくるという視点です。できること・頼ることを言葉にし、曖昧にしないことで、不安やすれ違いは減っていきました。

結婚を考えたときも、ロマンより先に話したのは現実のことでした。仕事や収入、使える制度、将来の暮らし方。障害年金や手帳、医療制度を正しく理解しながら進めることで、「なんとかなる」ではなく「安心できる結婚」に近づけたと思います。

周囲の理解や心ない言葉に傷つくこともありましたが、すべてに応えようとせず、必要な人にだけ伝える距離感を持つことも学びました。ふたりだけで抱え込まず、専門家や支援、当事者のつながりを頼ることも、長く続く関係には欠かせません。

義足パパが伝えたいのは、
「障害があるから恋愛や結婚は無理」でも、
「気合で乗り越えればいい」でもありません。

話し合い、制度や支援を使いながら、自分たちらしい形を選んでいけば、障害があっても結婚はできる
その一歩一歩が、ふたりなりの幸せにつながっていきます

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