「障害 者 就労 支援」で検索したあなたは、就労移行支援や就労定着支援を利用して、今より年収を上げたい、安定して働き続けたいと考えているのではないでしょうか。
本記事では、障害者雇用の平均年収と一般雇用との違い、年収が伸びにくい理由をデータと経験から整理しつつ、就労移行支援・就労継続支援A型/B型・就労定着支援の正しい使い分けを解説します。
そのうえで、どんなスキルや職種を目指せば年収アップにつながりやすいか、資格や転職の考え方、在宅ワークや副業の可否、障害年金とのバランスまで具体的に紹介。
義足パパ自身の実体験を交えながら、「長く働き続けること」が結果的に収入アップと暮らしの安定につながる、という結論までを一気に理解できます。
障害者の就労と年収の現実|なぜ収入が伸びにくいのか
「障害があっても、できれば家族を養えるだけの年収を得たい」と考えるのは、ごく自然な願いです。しかし現状では、障害者雇用で働く多くの人が、一般雇用と比べて低い水準の賃金・年収にとどまりやすいというデータが公的機関の調査から示されています(例:厚生労働省「障害者雇用実態調査」など)。ここでは、障害者の就労と年収の「今」を整理しつつ、なぜ収入が伸びにくいのか、その背景をわかりやすく解説します。
障害者雇用の平均年収と一般雇用との違い
まず押さえておきたいのが、障害者雇用と一般雇用では、そもそもスタートラインとなる「賃金水準」と「働き方の条件」が大きく異なるという点です。厚生労働省が実施している統計調査(「賃金構造基本統計調査」「障害者雇用実態調査」など)を見ると、障害者雇用で働く人の平均賃金は、一般雇用のフルタイム労働者と比較して低くなりやすい傾向があるとされています。この違いは、単に「障害があるから給料が低い」という話ではなく、雇用形態や職種、働く時間数など、いくつかの要因が重なって生まれています。
とくに民間企業における障害者雇用は、短時間勤務やパートタイムでの採用が多いこと、事務補助・清掃・軽作業など賃金水準が比較的低い職種に集中しやすいことが特徴です。一方で、一般雇用では正社員としてフルタイム勤務し、昇給や賞与、役職手当などの恩恵を受ける人が多いため、結果的に年収の差が大きくなっていきます。
以下は、障害者雇用と一般雇用の「典型的な違い」を整理したイメージです。
| 項目 | 障害者雇用(イメージ) | 一般雇用(イメージ) |
|---|---|---|
| 雇用形態 | 有期雇用・パートタイムが多い/正社員もあるがまだ少なめ | 正社員・無期雇用が中心 |
| 勤務時間 | 1日4〜6時間など短時間勤務が多い | 1日8時間前後のフルタイム勤務が一般的 |
| 主な職種 | 事務補助・清掃・軽作業・バックオフィス業務など | 営業・企画・専門職・マネジメントなど幅広い |
| 賃金の伸び方 | 昇給・昇進の仕組みが限定的な場合が多い | 年次昇給・昇進・賞与などで年収が伸びやすい |
このように、スタート時点の「働き方の設計」が違うため、数年・数十年と時間が経つほど年収の差が開きやすい構造になっていることが、まず理解しておきたいポイントです。
年収が上がらない主な原因(職種・勤務時間・評価制度)
では、なぜ障害者雇用では年収が上がりにくいのでしょうか。ここでは、特に影響が大きいとされる「職種」「勤務時間」「評価制度」の3つの観点から整理します。
1つめは、担当する職種の違いです。多くの企業では、障害者雇用枠での採用において、事務補助やルーティンワーク、清掃、軽作業などを中心としたポジションが用意されています。これらの業務は企業にとって必要不可欠である一方で、売上や利益への直接的な貢献度が見えにくく、賃金水準が抑えられやすい特徴があります。そのため、同じ会社で長く働いても、大幅な昇給や高額の賞与につながりにくいことがあります。
2つめは、勤務時間・働き方の制約です。通院や体調管理、リハビリなどが必要な場合、フルタイム勤務ではなく短時間勤務を選ばざるをえないことがあります。短時間勤務自体は、働き続けるうえでとても大切な選択ですが、単純に「働いた時間×時給(もしくは日給・月給)」で決まる給与体系では、どうしても月収・年収の上限が低くなってしまいます。また、残業が少ない・できないことも、一般雇用の人と比べたときに総収入の差につながりがちです。
3つめは、評価制度・キャリアパスの設計です。障害者雇用枠での採用の場合、「長く安定して働いてもらうこと」を重視するあまり、昇進や役職登用の仕組みが十分に整っていない企業もあります。評価の基準が「欠勤が少ない」「業務を一定レベルでこなせている」といった安定性中心になり、スキルアップや責任の拡大が評価に反映されにくいケースも少なくありません。その結果、「仕事には慣れてきたのに、給与はほとんど変わらない」という状況が続きやすくなります。
さらに、そもそも求人段階で「年収レンジ」が低めに設定されていることも多く、入社後の昇給幅が限定的であることも、年収アップを難しくしている要因のひとつです。こうした背景は、厚生労働省や独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構などが公表している調査報告書からも読み取ることができます(例:厚生労働省公式サイト、独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構 など)。
義足パパ自身が感じた「働きづらさ」と収入の壁
ここからは、義足パパ自身の実体験をもとに、数字だけでは見えてこない「働きづらさ」と年収の壁についてお伝えします。
義足パパは、事故による下肢切断をきっかけに義足で生活するようになり、それまで当たり前にこなしていた「通勤」「長時間の立ち仕事」「残業」が、体力的にも精神的にも大きな負担になりました。片道1時間以上の満員電車に揺られる通勤では、立ちっぱなしが続くと痛みや疲労が蓄積し、仕事を始める前からヘトヘトになってしまう日もありました。その結果、「フルタイム勤務でしっかり稼ぎたい」という気持ちと、「体調を優先して働き方をセーブしないと続かない」という現実のあいだで、常に揺れ動いていたのです。
また、義足のメンテナンスやリハビリ、定期的な通院などで平日に休みを取らざるをえない場面も多く、一般雇用の社員と同じペースで残業や出張をこなすことは難しいと感じていました。「同じチームのメンバーは残業をして残務を片づけているのに、自分は定時で帰らざるをえない」という状況が続くと、「これでは評価や昇給で差がついてしまうのではないか」という不安も大きくなっていきました。
さらに、「障害者雇用枠で働くべきか、それとも一般枠で転職すべきか」という選択も、大きな悩みの種でした。一般枠の求人のほうが年収レンジは高く見えますが、フルタイム勤務が前提だったり、転勤や長時間労働が避けられなかったりするケースも多く、「年収アップ」と「健康を守ること」のどちらを優先するか、何度も葛藤しました。
義足パパが痛感したのは、「自分の障害特性と生活リズムに合わない働き方」を続けると、短期的には収入を保てても、中長期的には体調を崩して離職につながり、結果的に年収もキャリアもリセットされてしまうという現実です。「とにかく今の年収を維持したい」「家族を養わなければ」というプレッシャーが強いほど、無理をして働いてしまいがちですが、その先にあるのは、決して明るい未来とは限りません。
こうした経験から、義足パパは、「年収アップ」を目指す前提として、まずは自分に合った働き方・サポート体制を整え、無理なく働き続けられる土台をつくることが何より重要だと考えるようになりました。次の章では、その土台づくりに欠かせない「障害者就労支援」の種類と役割について、具体的に説明していきます。
障害者就労支援とは?種類と役割を正しく理解する

「障害者就労支援」は、障害があっても自分らしく働き、安定した生活を続けるために、仕事探しから職場定着までをトータルで支える仕組みです。障害者総合支援法に基づき、市区町村から指定を受けた事業所(就労移行支援事業所・就労継続支援A型事業所・就労継続支援B型事業所など)がサービスを提供しています。
同じ「就労支援」という言葉でも、サービスごとに対象となる人・ゴール・働き方・収入の得方が大きく異なり、ここを理解しておかないと「思っていたのと違う」とミスマッチが起きやすいです。義足パパ自身も、制度の違いを知らないまま見学したことで「どこを選べば年収アップにつながるのか」が分からず、遠回りをした経験があります。
ここでは、特に年収アップを目指すうえで重要になる「就労移行支援」と、「就労継続支援A型・B型」の違いを中心に、障害者就労支援の基本を整理していきます。制度の全体像は、厚生労働省や各自治体の公式情報もあわせて確認しておくと理解が深まります。
就労移行支援とは|対象者・利用条件・支援内容
就労移行支援は、「一般就労(一般企業への就職)」を目指す人のための訓練・就職支援サービスです。身体障害・知的障害・精神障害・発達障害・難病などを抱える人が対象で、「いずれ一般企業で働きたい」という希望を持っていることが前提になります。
就労移行支援の対象者と利用条件
就労移行支援を利用できるかどうかは、主に市区町村の障害福祉担当窓口や指定特定相談支援事業所での相談・審査を経て決まります。一般的には、次のような条件が目安になります。
| 項目 | 概要 |
|---|---|
| 対象となる障害 | 身体障害・知的障害・精神障害(うつ病、統合失調症など)・発達障害・難病など、継続的な支援が必要と判断される状態 |
| 就労への意欲 | 「一般企業への就職を目指したい」という意思があり、訓練や就職活動に取り組めること |
| 年齢 | おおむね18歳以上から65歳未満が中心(詳細は自治体の基準による) |
| 利用期間 | 原則最長2年(一定の条件を満たす場合に延長が認められることもある) |
| 利用料 | 世帯所得に応じた自己負担が原則だが、多くの場合は月額負担上限が設けられている(0円の場合もある) |
利用の可否や負担額は、住んでいる自治体によって扱いが異なるため、必ず市区町村窓口や相談支援専門員に確認することが大切です。
就労移行支援で受けられる主な支援内容
就労移行支援事業所では、一般企業で働くことをゴールに、次のような支援を組み合わせて提供します。
| 支援のカテゴリ | 具体的な内容の例 |
|---|---|
| 生活リズムの安定 | 通所による生活リズムづくり、体調管理の相談、服薬や睡眠などのセルフマネジメント支援 |
| ビジネスマナー | 挨拶・身だしなみ・電話応対・報連相(報告・連絡・相談)・メールの書き方など、職場で必要な基本マナーの習得 |
| 職業スキル訓練 | パソコン(Word・Excel・タイピング)・事務作業・軽作業・接客練習など、希望職種に合わせたスキル訓練 |
| 就職活動支援 | 職務経歴書や履歴書の作成支援、面接練習、求人開拓、ハローワークや障害者職業センターとの連携 |
| 職場実習・トライアル雇用 | 実際の職場での実習を通じて、「自分に合う仕事内容・働き方・職場環境」を確認しながら、企業とのマッチングを図る |
| 就職後のフォロー | 就職後の定着支援事業所や企業担当者との連携、職場に関する悩み相談、勤務調整や合理的配慮の提案など |
義足パパの感覚としては、「学校」と「就職エージェント」が合体したような場所が就労移行支援であり、ただの職業訓練ではなく、体調や家族との生活も含めてトータルに相談できる点が大きな安心材料でした。
就労継続支援A型・B型との違い
「就労移行支援」と混同されやすいのが、就労継続支援A型・B型です。どちらも「働く場」を提供するサービスですが、ゴールが「一般企業への就職」なのか、「福祉的就労による継続的な働く機会」なのかが大きな違いです。
目的・対象・収入の違いを整理
年収アップを目指すうえで重要なポイントに絞って、就労移行支援・A型・B型の違いを比較します。
| 区分 | 就労移行支援 | 就労継続支援A型 | 就労継続支援B型 |
|---|---|---|---|
| 主な目的 | 一般企業への就職・転職を実現すること | 雇用契約に基づき、障害があっても継続的に働ける場を提供すること | 雇用契約は結ばず、作業の提供と就労訓練の場を提供すること |
| 対象者像 | 一般就労が可能と見込まれる人 | 企業での就労は難しいが、雇用契約のもとでの就労が可能な人 | 雇用契約を結んで働くことが難しく、生活リズムづくりや基礎的な作業訓練から必要な人 |
| 働き方 | 通所して訓練が中心(一部、企業実習や短時間の就労もある) | 事業所と雇用契約を結び、決められた時間に勤務する | 事業所と利用契約を結び、体調や状況に合わせて作業を行う |
| 収入の位置づけ | 訓練中の収入は基本的になく(交通費や皆勤手当などが支給される場合もある)、就職後の給料アップを目指す | 最低賃金以上の時給で給与が支払われる | 「工賃」として作業に応じた報酬が支払われるが、一般的に給与水準は低い |
| 利用期間 | 原則最長2年(条件により延長あり) | 期間の定めはなく、継続利用が可能 | 期間の定めはなく、継続利用が可能 |
| 年収アップとの関係 | 短期的な収入は少なくても、一般就労での年収アップを目指すための「投資期間」 | 安定した一定収入は得やすいが、年収の大幅アップは事業所や仕事内容に左右されやすい | 工賃水準が低いことが多く、他の収入(障害年金など)との組み合わせが前提になりやすい |
義足パパの感覚としては、「今すぐの収入を優先するならA型・B型」「数年かけてでも一般就労での年収アップを狙うなら就労移行支援」という大まかなイメージを持っておくと、選びやすくなります。
制度選びでよくある勘違い
見学やパンフレットだけでは、次のような勘違いが起きやすいです。
- 「A型も一般就労と同じようにキャリアアップ・昇給していける」と考えてしまう
- 「B型でも頑張ればフルタイム並みの収入が得られる」とイメージしてしまう
- 「就労移行支援は学校みたいで、すぐにはお金にならないから損」と感じてしまう
実際には、サービスごとに設計されている役割が違うため、「どれが一番いいか」ではなく「自分の状態と、将来の年収プランに合っているか」で選ぶことが重要です。制度の概要は厚生労働省の障害福祉サービスのページでも確認できます。
義足パパ目線で感じた「向き・不向き」
ここからは、義足パパ自身が義足になってから仕事復帰を考えたとき、各サービスに対して感じた「向き・不向き」をリアルな感覚でお伝えします。
就労移行支援が向いていると感じた人
義足パパが見学や利用者との会話を通じて、「この人は就労移行支援が合いそうだな」と感じたのは、次のようなケースでした。
- 「いずれは一般企業で、正社員やフルタイムに近い形で働きたい」という具体的なイメージがある人
- 過去に一般就労の経験があり、「もう一度職場復帰したい」と考えている人
- PCスキルや事務・IT・専門職など、「スキルを伸ばせば年収アップが見込める職種」を目指したい人
- 体調や障害特性に波はあるが、通所リズムを整えれば訓練に参加できる見込みがある人
- 短期的な収入よりも、「3〜5年後の年収アップ」を重視できる状況にある人(家族の収入や障害年金などで生活を支えられる場合など)
義足パパ自身も、「義足での生活に慣れながら、デスクワーク中心の仕事にシフトしたい」「子どもが小さいうちは時短勤務から始めて、ゆくゆくは年収を戻していきたい」という希望があり、就労移行支援でPCスキルと働き方の選択肢を増やすことが、年収アップへの近道だと感じました。
就労継続支援A型が向いていると感じた人
一方で、「今は就労移行支援よりもA型の方が合っていそうだ」と感じたのは、次のようなケースです。
- 体調や障害特性から、一般企業での長時間勤務は難しいが、決まった時間に出勤し、安定したリズムで働くこと自体を目標にしたい人
- 雇用契約に基づいて働き、社会保険なども含めた「働く感覚」を身につけたい人
- 今すぐ一定の給与が必要で、訓練期間に収入ゼロになるのが厳しい人
- 軽作業や単純作業など、自分のペースで取り組める仕事をまずは続けたい人
義足パパが見てきた中には、「A型で働きながら体力や自信をつけて、そこから就労移行支援や一般就労にステップアップしていった人」もおり、必ずしも「A型=ゴール」ではなく、段階的なキャリアの一部として活用することもできると感じました。
就労継続支援B型が向いていると感じた人
B型については、義足パパの印象として、次のような人に合いやすいと感じました。
- 長時間の勤務や雇用契約のプレッシャーが大きく、まずは生活リズムを整えたり、人と関わる練習から始めたい人
- 医療的なケアやこまめな配慮が必要で、一般就労やA型での勤務が現時点では難しい人
- 自分のペースで作業しながら、体調や障害特性との付き合い方を探っていきたい人
- 障害年金や家族の収入をベースにしつつ、工賃を生活リズムづくりや社会参加のきっかけとして位置づけたい人
義足パパは、「今後、病状や家族状況によっては、自分もB型のような選択肢が必要になるかもしれない」と感じており、収入だけでなく、心身の安定や家族との生活リズムも含めて、『どのサービスが今の自分を一番守ってくれるか』という視点も大切だと実感しました。
最終的に義足パパが強く感じたのは、「どのサービスが一番えらいか」ではなく、「自分の今の状態と、数年先の年収・働き方のイメージに一番フィットするか」で選ぶことが、障害者就労支援を賢く使う鍵だということです。そのうえで、就労移行支援を上手に活用すれば、一般就労での年収アップを現実的な選択肢として描きやすくなります。
就労移行支援で年収アップを目指す具体的な戦略
就労移行支援は「就職するための場所」というだけでなく、障害のある人が安定して働き続けながら年収アップを目指すための“キャリアの土台づくり”を行う場所です。ここでは、就労移行支援を活用して、どのように職種やスキルを選び、資格や転職戦略と組み合わせながら年収アップにつなげていくかを、具体的に整理していきます。
スキル習得で年収が変わる職種とは(IT・事務・専門職)
障害者雇用枠であっても一般枠であっても、「人を入れ替えにくい仕事」や「専門スキルが求められる仕事」ほど、長期的に見て年収が上がりやすい傾向があります。就労移行支援では、軽作業だけでなく、IT・事務・専門職などへのステップアップを意識した訓練を選ぶことで、将来の選択肢と年収の伸びしろを広げることができます。
代表的な職種と、就労移行支援で身につけやすいスキル、年収アップのポイントを整理すると、次のようになります。
| 職種のカテゴリ | 主な業務内容 | 就労移行支援で身につきやすいスキル | 年収アップのポイント |
|---|---|---|---|
| IT職(エンジニア・Web系) | プログラミング、Webサイト更新、システム運用補助、ヘルプデスクなど | タイピング、HTML・CSSの基礎、簡単なプログラミング、ITパスポートレベルの知識、PCトラブル対応 | 実務で使えるポートフォリオや成果物を作ることで、未経験でも「育てれば戦力になる人材」として評価されやすくなる |
| 事務職(一般事務・営業事務など) | データ入力、書類作成、電話応対、メール対応、スケジュール管理など | Word・Excel・PowerPoint、ビジネスメール、ビジネスマナー、タスク管理、報連相(報告・連絡・相談) | 「正確さ」「スピード」「コミュニケーション」をセットで高めることで、派遣・契約から正社員登用や昇給につながりやすい |
| 事務系専門職(経理・人事・総務など) | 経費精算、給与計算補助、社会保険の手続き、勤怠管理、社内ルールの運用など | 簿記の基礎、労務・社会保険の仕組み、Excel関数、社内システムの操作方法 | 簿記検定や社会保険関連の知識を身につけると、「一般事務+専門性」で評価され、年収レンジが上がりやすい |
| その他の専門職(医療事務・CADオペレーターなど) | レセプト業務、受付、図面作成補助、設計サポートなど | 医療保険制度の基礎、専用ソフトの操作、図面の読み方、正確な入力作業 | 医療機関や製造業など特定の業界で長く働くほど評価が高まり、経験年数に応じて昇給を見込みやすい |
就労移行支援事業所によって、強みとしている職種やカリキュラムは異なります。「なんとなく通う」のではなく、自分が将来目指したい年収レンジや働き方から逆算して、職種と訓練内容を選ぶことが重要です。
ITスキルを軸にした年収アップ戦略
IT職は、在宅勤務やフレックスタイム制など柔軟な働き方が取りやすく、障害特性に合わせた働き方を実現しやすい分野です。就労移行支援では、タイピングや基本的なOfficeソフトに加えて、自分の興味と障害特性に合ったITスキル(プログラミング・Web制作・ヘルプデスクなど)を一つ選び、集中的に伸ばすと、採用担当者の印象が大きく変わります。
また、ポートフォリオ(成果物のまとめ)として、簡単なWebページやツール、マニュアルなどを作成しておくと、面接時に「できること」を具体的に示すことができ、年収交渉や配属部署の選択にも良い影響を与えます。
事務スキルで安定したキャリアと昇給を狙う
事務職は求人が多く、障害者雇用枠でも募集が安定している職種です。年収アップを目指す上では、「誰でもできる単純な事務作業」から一歩進んで、「任せてもらえる領域」を増やすことがポイントになります。
就労移行支援では、Excelの関数や集計、Wordでの文書作成、ビジネスメールなどを、実際のオフィスワークに近い形で訓練できます。模擬オフィスや実習を通じて、「締切を守る」「ミスを減らす」「わからないことを早めに相談する」といったビジネススキルを身につけておくと、入社後の評価が上がり、賞与や昇給につながりやすくなります。
専門職を見据えた長期的なキャリア設計
経理や人事、医療事務、CADオペレーターなどの専門職は、一気に高収入になるわけではありませんが、経験を積むほど「替えがききにくい人材」として評価されやすく、長期的には年収アップを期待しやすい分野です。
就労移行支援の段階では、いきなり高度な内容を目指すのではなく、簿記の初級レベルや労務の基礎、図面や医療用語の読み方など、「土台となる知識」を着実に身につけることが大切です。そのうえで、企業実習を通じて、自分の障害特性と専門職の業務内容が本当に合うかどうかを確かめると、ミスマッチによる早期離職を防ぎやすくなります。
資格取得は本当に年収アップにつながるのか
就労移行支援の現場では、「何の資格を取ればいいですか?」という相談がよくあります。しかし、資格そのものが年収を上げてくれるわけではなく、「資格+実務スキル+働き方」が組み合わさってはじめて年収アップにつながると考えることが大切です。
一方で、求人票では「歓迎資格」や「優遇スキル」として資格が挙げられていることがあり、採用のハードルを下げたり、スタート時の給与テーブルを上げたりする“きっかけ”として資格が役立つのも事実です。以下は、就労移行支援と相性がよい主な資格のイメージです。
| 資格のカテゴリ | 代表的な資格 | 就労移行支援との相性 | 年収アップへのつながり方 |
|---|---|---|---|
| 基礎・汎用スキル系 | 日商簿記3級、ビジネス実務マナー検定、秘書検定など | テキスト学習と模擬試験を組み合わせやすく、学習計画も立てやすい | 事務職や総務・経理補助への応募時に「基礎がある人」として評価され、採用されやすくなる |
| IT・デジタル系 | ITパスポート、MOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)など | PC訓練と直結しやすく、支援スタッフも学習サポートを行いやすい | ITサポートや一般事務で「PCが得意な人」という評価を得られ、業務範囲が広がることで昇給を狙いやすい |
| 事務・会計系 | 日商簿記2級、給与計算実務能力検定など | 学習難易度は上がるが、経理・人事系専門職を目指すうえで有利 | 専門職としての採用につながることで、一般事務と比べて高めの給与テーブルからスタートしやすい |
| その他の専門系 | 医療事務関連資格、CAD関連資格など | 実務経験とセットで評価されることが多く、企業実習との組み合わせが重要 | 特定の業界で長く働き続けることを前提にすると、資格が昇給やキャリアアップの後押しになる |
資格を取るかどうかを判断するときは、「取りやすい資格」ではなく「働きたい仕事で評価される資格かどうか」を基準にすることがポイントです。また、勉強の負荷が高すぎて体調を崩してしまうと本末転倒なので、支援スタッフと相談しながら、無理のない学習計画を立てることが大切です。
年収アップにつながりやすい資格の選び方
資格選びで失敗しないためには、次の3つの視点を意識することが役立ちます。
第一に、求人票を確認し、「応募条件」「歓迎条件」「優遇資格」に挙がっているかどうかをチェックします。実際の求人で名前が出てこない資格は、年収アップへの影響が限定的な場合があります。
第二に、自分の障害特性との相性を考えます。記憶力や集中力が必要な資格試験も多いため、学習スタイル(通所日数、通院、服薬の影響など)と両立できるかどうかを支援スタッフと一緒に検討します。
第三に、資格取得後のステップを具体的に描きます。「資格を取ったあと、どんな求人に応募し、どんな実務経験を積んで、どのくらいの年収を目指すのか」までイメージしておくことで、モチベーションと継続力が高まりやすくなります。
資格取得と就労移行支援カリキュラムの組み合わせ方
資格学習は、それだけに集中しすぎると、生活リズムが崩れたり、実務スキルの習得が遅れたりすることがあります。就労移行支援のカリキュラムと上手に組み合わせるために、「午前は通所と訓練、午後は資格学習」「週に〇日は資格学習を優先する日を作る」など、自分なりのルールを決めておくと、バランスを取りやすくなります。
また、模擬試験の前後には体調が乱れやすいため、支援スタッフにあらかじめ相談し、通所スケジュールやタスク量を調整してもらうことも重要です。資格はゴールではなく、「働き続けるための道具」だと考え、無理のないペースで取り組みましょう。
義足パパが意識した「年収を下げない転職の考え方」
年収アップを目指すとき、多くの人が「今より高い給料の求人」を探しますが、義足パパが就労移行支援や転職活動を通して実感したのは、「目先の月給だけを追いかけると、結果的に年収が下がることがある」ということでした。
残業時間が極端に多かったり、障害への配慮が十分でなかったりすると、体調を崩して退職せざるを得なくなり、トータルの年収は大きく下がってしまいます。そのため義足パパは、「長く働き続けられるかどうか」と「数年後の年収の伸びしろ」を重視して、転職先を選ぶことを大切にしました。
転職前後で必ず比べておきたいポイント
年収を下げない転職を考えるときは、「基本給」だけでなく、以下のような項目を就労移行支援のスタッフやハローワークの職員と一緒に確認しておくと安心です。
| チェック項目 | 具体的な確認内容 | 見落としがちなポイント |
|---|---|---|
| 給与・賞与 | 基本給、各種手当、賞与の有無と支給回数 | 「手取り額」だけで判断せず、賞与や昇給の仕組みを含めて総額で比較する |
| 労働時間・働き方 | 所定労働時間、残業の目安、在宅勤務や時短勤務の可否 | 残業が多いと通院やリハビリに支障が出て、継続が難しくなる可能性がある |
| 障害への配慮 | 通院のための早退・遅刻への理解、休憩の取りやすさ、バリアフリー環境など | 入社前の職場見学や実習で、実際の職場の雰囲気や配慮のされ方を確認する |
| 昇給・キャリアパス | 昇給の有無と頻度、等級制度、正社員登用制度など | スタート時の年収が少し低めでも、数年後に上がっていく仕組みがあるかどうかを必ず確認する |
| 通勤・生活との両立 | 通勤時間、乗り換え回数、職場の立地、家族との時間 | 通勤負担が大きすぎると体力を消耗し、結果的に離職リスクが高まる |
これらを一つひとつ整理して比較することで、「今は少し抑えた年収でも、3年後・5年後に安定して伸びていく職場」を選びやすくなります。就労移行支援のスタッフに、過去の利用者の事例や企業側の評価ポイントを聞きながら、一緒に条件を整理していくと、自分一人では見落としていた視点に気づきやすくなります。
情報収集と相談をセットにした転職の進め方
義足パパは、求人サイトやハローワークの情報だけで判断せず、就労移行支援の職員や就労定着支援スタッフ、家族とも相談しながら「本当に自分に合うかどうか」を時間をかけて確認しました。
特に、企業実習や職場見学は、求人票だけでは分からない「人間関係」「雰囲気」「仕事の進め方」を知る貴重な機会です。実習後に支援スタッフと振り返りを行い、「この職場で1年、3年と働き続ける自分をイメージできるか」「年収を下げないどころか、むしろ少しずつ上げていけそうか」を一緒に確認することで、納得感のある転職がしやすくなります。
このように、就労移行支援を「転職活動の伴走者」として活用しながら、短期的な給与だけでなく、中長期的な年収と働きやすさのバランスを見ていくことが、義足パパにとって「年収を下げない転職」を実現するうえで大きな支えになりました。
就職後が本番|就労定着支援を使い倒すコツ
就労移行支援などを経て就職しても、職場に定着し、安定して働き続けることができなければ、年収アップもキャリアアップも実現しにくいのが現実です。ここでは、就労定着支援の仕組みと活用法、実際の相談・調整の具体例、そして義足パパが「辞めずに働き続ける」ために実践している工夫をまとめます。
就労定着支援の内容と利用期間
就労定着支援は、障害者総合支援法に基づく福祉サービスで、「就職したあとに、職場に長く安定して勤められるようにサポートする」ことを目的とした制度です。ハローワークや障害者職業センター、就労移行支援事業所などと連携しながら、本人と企業の両方を支える役割があります。
主な支援内容は、厚生労働省の情報でも示されているように、厚生労働省の方針に沿って各自治体が運営していますが、一般的には次のようなものが含まれます。
| 支援の種類 | 具体的な内容 | ねらい |
|---|---|---|
| 定期面談 | 月に1回などのペースで、事業所の職員が本人と面談し、体調・仕事量・人間関係・ストレス状況を一緒に整理する | 早めに「小さな困りごと」を見つけて悪化を防ぐ |
| 職場訪問 | 必要に応じて支援員が職場を訪問し、上司や人事担当者と面談しながら、業務内容や勤務時間の調整を提案する | 企業側の理解を広げ、現場で実行しやすい配慮を一緒に考える |
| 電話・オンライン相談 | 体調の不安やトラブルが起きたときに、電話やオンラインで支援員に相談し、対処方法を一緒に考える | 問題が大きくなる前に、素早く相談・共有できる体制をつくる |
| 家族との連携 | 家族が同席して状況を共有し、自宅での声かけや生活リズムの整え方を一緒に考える | 仕事と生活の両面から支えることで、長期的な定着を目指す |
| 関係機関との調整 | 医療機関、地域の相談支援事業所、ハローワークなどと情報を共有し、必要に応じて通院スケジュールや通院頻度に配慮した働き方を検討する | 治療と就労の両立を図り、無理のない就労継続を支える |
利用期間は自治体や制度の改正状況によって変わる場合がありますが、「就職してから一定期間、継続的にサポートが受けられるサービス」として位置づけられています。最新の利用条件や期間については、お住まいの自治体の障害福祉担当窓口や相談支援専門員、就労移行支援事業所に必ず確認しましょう。
ポイントは、「問題が起きてから使う」のではなく、「問題が起きないように予防的に使う」視点で、早めに支援員に情報を共有しておくことです。職場でのちょっとした違和感や不安を、月1回の面談のタイミングまで待たずに相談できる関係づくりが、結果的に離職リスクを下げます。
職場で困ったときの相談・調整の具体例
就労定着支援を実際に活かすには、「どんなときに、何を相談すればいいのか」を具体的にイメージしておくことが重要です。ここでは、義足パパ自身の経験や周囲の事例をもとに、よくある相談・調整のパターンを紹介します。
業務量と体調のバランスが崩れたとき
障害特性や体力、通院などの事情から、フルタイム勤務や残業が続くと体調を崩しやすい人は少なくありません。義足パパも、義足での長時間立ち仕事や移動が続くと、断端の痛みや腰痛が強くなり、家に帰るとほとんど動けなくなることがありました。
そのようなとき、就労定着支援の支援員に次のような相談をすることで、職場との具体的な調整につながりやすくなります。
- 週何時間くらいから体調が悪化しやすいのか、具体的な目安を一緒に整理する
- 繁忙期だけでも業務内容を一時的に変更できないか、支援員から会社に提案してもらう
- 「残業ゼロにしてほしい」ではなく「月◯時間以内なら続けられそう」と、代替案をセットで伝える言い方を検討する
支援員が第三者として入ることで、本人からは言いづらい「体力的に厳しい」「痛みが強い」といった本音を、角を立てずに会社へ伝えてもらいやすくなるというメリットがあります。
人間関係・コミュニケーションでつまずいたとき
職場の人間関係のストレスは、障害の有無にかかわらず離職理由の上位に挙がります。特に、発達障害や精神障害をもつ人にとって、急な予定変更や曖昧な指示、雑談の空気感などは大きな負担になりがちです。
例えば、次のような場面で就労定着支援が役立ちます。
- 上司からの指示が口頭のみで、後から内容を思い出せずミスが増えてしまう
- 同僚との雑談が苦手で、ランチや飲み会を毎回断っているうちに、仕事上の情報共有からも外れてしまったと感じる
- 注意を受けたときにパニックになり、頭が真っ白になってしまう
このような場合、支援員と一緒に次のような工夫を考え、職場に伝えてもらうことができます。
- 指示は可能な範囲でメールやメモなど「文字で残る形」にしてもらう
- 雑談や飲み会には無理に参加しない代わりに、業務に関する情報はミーティングやチャットツールで共有してもらう
- 注意を受けたときにその場で答えられない場合は「一度整理してから、◯分後に返事をする」ルールを共有しておく
支援員が同席する面談の場で話し合うことで、本人が「わがまま」を言っているのではなく、「合理的配慮」として必要な調整であることを、企業側にも理解してもらいやすくなります。
業務内容や配置転換の相談をしたいとき
実際に働き始めてみると、想像以上に身体的負担が大きかったり、障害特性と業務内容が合わないと感じたりすることがあります。義足パパも、当初は立ち仕事中心の部署に配属されましたが、負担が大きく、結果的に座り仕事の多い部署への異動を相談することになりました。
このようなケースでは、次のステップで就労定着支援を活用できます。
- 支援員との面談で、現状の業務でどの部分が特に負担になっているのかを具体的に洗い出す
- 会社の中で、どの部署・どの業務なら負担を減らしつつ貢献できそうか、可能性を一緒に考える
- 本人・支援員・会社担当者の三者面談を設定し、「配置転換=わがまま」ではなく、「長く働き続けるための投資」であることを共有する
企業側にとっても、せっかく採用・育成した社員に早期離職されるのは大きな損失です。就労定着支援を通じて、「異動すれば戦力として続けてもらえる」という見通しが共有できれば、前向きな配置転換につながりやすくなります。
勤務時間・テレワーク・通院の調整をしたいとき
近年は、障害者雇用でもフレックスタイム制度や在宅勤務(テレワーク)を導入する企業が増えています。とはいえ、制度があっても「どう切り出せばいいのか分からない」「周囲の目が気になる」と利用をためらう人も多いです。
就労定着支援の場では、次のような相談が可能です。
- 朝の通勤ラッシュが負担な場合に、勤務開始時間を30分〜1時間ずらせないか検討する
- 義足や車いすの場合に、週◯日は在宅勤務にして、移動負担を軽減できないか話し合う
- 定期通院の日に、半日休や時間単位の有給休暇を使えるよう、会社の就業規則や制度の確認を支援員に手伝ってもらう
「通院があるからシフトに入れない」のではなく、「この曜日・時間なら問題なく働ける」といった前向きな条件整理を一緒に行うことで、企業側も予定を組みやすくなります。
義足パパが「辞めずに働き続ける」ために使った工夫
義足パパ自身、就職してからも何度も「もう辞めたい」と感じたタイミングがありました。痛みや疲労、職場の人間関係、子育てとの両立など、理由は一つではありません。その中で、就労定着支援をフル活用しながら、辞めずに働き続けるために意識してきた工夫を紹介します。
「限界になる前に相談する」をルール化する
義足パパがまず決めたのは、「もう無理だ」と感じる一歩手前で、必ず支援員か家族に相談するという自分なりのルールです。具体的には、次のようなサインが出たら「黄色信号」とみなすようにしました。
- 職場のことを考えると夜眠れない日が3日以上続いた
- 帰宅後、子どもの話を聞く余裕がなくなってきた
- 義足の痛みが強く、休日も横になっている時間が明らかに増えた
こうしたサインが出たときには、「まだ頑張れるから」と我慢せず、就労定着支援の面談を前倒しで設定してもらったり、電話で相談したりしました。早めにSOSを出すことで、業務量の調整や一時的な勤務時間の短縮など、選択肢が多いうちに手を打てるようになります。
「仕事・家庭・治療」の優先順位を定期的に見直す
義足パパの場合、仕事だけでなく、義足のメンテナンスやリハビリ、子どもの行事などもスケジュールに大きく影響します。そのため、支援員との面談では、仕事の話だけでなく、次のようなテーマも必ず確認するようにしています。
- 今月・来月の通院予定やリハビリの計画
- 保育園・学校の行事や、家族のサポートが必要なタイミング
- 体力やメンタルの状態から見て、残業や休日出勤がどの程度までなら無理なくこなせそうか
こうした情報をもとに、「今月は家庭の予定が多いので仕事はセーブ気味に」「来月は体調が安定している見込みなので、少しチャレンジしてみる」といったバランス調整を、支援員と一緒に考えています。結果的に、無理な時期に無理をしすぎて、一気に体調を崩して離職…という最悪のパターンを避けやすくなりました。
会社との「見える化された約束事」を増やす
義足パパが意識しているのは、「その場の空気」や「暗黙の了解」に頼りすぎず、会社との約束事をできるだけ見える形にしておくことです。就労定着支援の支援員にも協力してもらい、次のような点を文章やメールで整理してきました。
- 義足の状態が悪化したときに、どの程度まで業務をセーブさせてもらえるのか
- 通院やリハビリで早退・遅刻が必要になった場合の連絡方法とルール
- 新しい業務を任されるときの、引き継ぎ期間や研修の進め方
これらを事前に擦り合わせておくことで、部署異動や上司交代があっても、最低限の配慮やルールが引き継がれやすくなるというメリットがあります。もし新しい上司との間でギャップが生じた場合でも、「以前の取り決め」を支援員から説明してもらうことで、ゼロから信頼関係を築き直す負担を減らせます。
「辞めるか続けるか」を一人で決めない
仕事がつらくなると、「もう辞めるしかない」と視野が狭くなりがちです。義足パパも、何度もその状態に陥りました。そのたびに意識してきたのは、「退職」という重大な決断を、一人きりでしないということです。
具体的には、次の順番で相談するようにしています。
- まず就労定着支援の支援員に、「今のつらさ」を整理して聞いてもらう
- 支援員と一緒に、「辞めずに続けるための選択肢」が他にないかを洗い出す
- それでも難しいときは、家族とも話し合い、生活の見通し(収入・障害年金・貯蓄など)を一緒に考える
このプロセスを踏むことで、「感情だけで退職を決めてしまい、あとで後悔する」リスクを減らすことができました。結果として、配置転換や勤務時間の変更などで乗り切れたケースも少なくありません。
就労定着支援は、制度としての枠組みだけでなく、「辞めたくなるほどつらいときに、一緒に悩んでくれる伴走者を持つ」ための仕組みでもあります。義足パパにとっても、支援員の存在は、年収アップやキャリアアップを目指すうえでの大きな安心材料となっています。
障害者雇用でも年収アップしやすい働き方

障害者雇用であっても、働き方や雇用形態の選び方次第で、年収アップを実現することは十分に可能です。ここでは、一般雇用との違いや、在宅ワーク・フレックス勤務、副業・複業の活用方法を整理しながら、自分の体調や障害特性に合った働き方で年収を高めていくための具体的な視点をお伝えします。
一般雇用と障害者雇用、どちらを選ぶべきか
年収アップを考えるとき、多くの人が「障害者雇用のままでよいのか」「一般雇用にチャレンジした方がよいのか」で悩みます。どちらが正解というよりも、自分の体調・通院・家族状況・スキル・将来像に合った選択をすることが重要です。
一般的な特徴を整理すると、次のようになります。
| 項目 | 障害者雇用(障害者枠) | 一般雇用(一般枠) |
|---|---|---|
| 採用ハードル | 障害者手帳を前提に、募集枠が用意されているため比較的入りやすい場合がある | 応募者が多く、実務経験やスキルでの競争が前提になることが多い |
| 想定される年収レンジ | 企業や職種によるが、事務補助・軽作業などでは年収が横ばいになりやすい傾向 | 成果や役職に応じて昇給・昇格しやすく、高年収を目指しやすいケースもある |
| 勤務時間・働き方 | 短時間勤務や通院配慮など、柔軟な働き方が認められやすい | フルタイム前提の求人が多く、残業も発生しやすい |
| 合理的配慮 | 面接段階から合理的配慮が前提になっていることが多い | 社内制度の理解があれば配慮を受けられる場合もあるが、個別交渉が必要 |
| キャリアパス | 特例子会社や障害者雇用専門部署などでは役職ポストが限られることもある | 管理職・専門職など、ポストが多く用意されている企業もある |
年収アップだけを最優先すると一般雇用に目が行きがちですが、体調を崩して休職・退職を繰り返してしまうと、結果として生涯年収が下がるリスクもあります。逆に、障害者雇用であっても、IT・経理・人事・企画職などスキルベースの職種に就けば、昇給・昇格のチャンスは十分にあります。
就労移行支援事業所やハローワークの障害者専門窓口では、一般枠・障害者枠それぞれの求人票を比較しながら、「現時点のベスト」と「数年後に目指す働き方」の両方を見据えたキャリア設計を一緒に考えてもらうことができます。
在宅ワーク・フレックス勤務の活用
近年は、新型コロナウイルスの影響もあり、在宅勤務やフレックスタイム制を導入する企業が大きく増えました。これは、体力の消耗が大きい通勤や満員電車が負担になる人にとって、就労継続と年収アップを両立しやすくなる大きなチャンスです。
在宅ワーク・フレックス勤務を活かして年収アップにつなげるには、次のポイントを意識するとよいでしょう。
| 働き方 | メリット | 注意点 |
|---|---|---|
| 在宅勤務(テレワーク) | 通勤負担が少なく、体調に合わせて集中しやすい時間帯に業務を進めやすい | コミュニケーション不足で評価が見えにくいことがあり、進捗報告や相談を自分から行う工夫が必要 |
| フレックスタイム制 | 通院やリハビリ、子どもの送迎と両立しやすく、勤務時間を確保しやすい | コアタイムの時間帯に体調が崩れやすい人は、シフト型勤務の方が合う場合もある |
| ハイブリッド勤務 | 出社日を設けることで、上司や同僚との関係を維持しながら、在宅で体力を温存できる | 出社日の移動手段・通勤経路に無理がないか、事前に確認しておく必要がある |
年収アップを目指すなら、単に「在宅勤務ができる会社」を探すだけでなく、在宅勤務でも評価されやすい職種かどうか(例:プログラマー、Webデザイナー、経理、カスタマーサポートなど)を意識することが重要です。
また、就労移行支援ではオンライン訓練を導入している事業所も増えています。在宅での訓練を経験しておくと、自宅で働くときの時間管理や、チャット・オンライン会議ツールでの報連相のスキルを事前に身につけられ、就職後の評価アップにもつながりやすくなります。
副業・複業は可能?制度と注意点
本業だけでは年収アップが難しい場合、「副業・複業で収入を増やしたい」と考える人も少なくありません。最近では大企業を中心に副業解禁の流れが進んでいますが、障害者雇用で働く場合は、就業規則や健康面、障害年金との関係を特に慎重に確認する必要があります。
副業・複業を検討する際は、次の3つのポイントを押さえておきましょう。
| ポイント | 確認・対策の内容 |
|---|---|
| 就業規則・雇用契約 | 勤務先の就業規則に「副業禁止」「事前届出制」などの規定がないか確認する。必要に応じて人事担当者に相談し、許可の範囲を明確にしておく。 |
| 健康・体調管理 | 本業で疲れ切ってしまう状況で副業を増やすと、体調悪化や長期休職につながりかねない。医師や産業医に相談し、週あたり何時間までなら無理がないかを一緒に検討する。 |
| 障害年金・各種制度との関係 | 収入が増えることで障害年金やその他の福祉サービスに影響が出る場合があるため、年金事務所や自治体の窓口で事前に相談し、リスクを把握したうえで判断する。 |
副業としては、在宅でできるWebライティング、デザイン、データ入力、動画編集、オンライン講師などが選択肢になりますが、スキルや興味に合わない仕事を無理に続けると、時間単価が低くストレスだけが増えることもあります。本業で身につけたスキルを活かせる案件から始めると、学びが相互に活きやすく、結果として本業の評価アップにもつながりやすくなります。
就労定着支援や就労移行支援のスタッフに相談すれば、「今の体調で副業を増やしても大丈夫か」「どのくらいの時間・負荷なら現実的か」を第三者視点で一緒に整理してもらうことも可能です。年収アップを焦るあまり、本業を失ってしまわないよう、「働き続けられるペース」を守ることを忘れないようにしましょう。
年収アップに直結する支援事業所の選び方

同じ就労移行支援事業所や就労継続支援A型・B型でも、「どこを選ぶか」によって就職先の質や年収、キャリアアップのしやすさは大きく変わります。年収アップを目指すなら、通いやすさや雰囲気だけで決めず、「就職率」「定着率」「紹介される職種や賃金水準」まで含めて総合的に比較することが重要です。
支援実績・就職率・定着率の見極め方
障害者雇用での年収アップを現実的に目指すためには、事業所選びの段階で「実績」を数字で確認しておくことが欠かせません。就労移行支援であれば、毎年どのくらいの利用者が一般就労につながっているのか、就職した人がどのくらい職場に定着しているのかを具体的に聞きましょう。
見るべき数字とポイント
説明会や見学のときには、以下のような指標を確認すると、事業所の本当の支援力が見えやすくなります。
| 指標 | 内容 | 確認するときのポイント |
|---|---|---|
| 就職率 | 一定期間内に就労移行支援を利用して就職した人の割合。 | 「何人中何人が就職したのか」「どんな企業・職種に就職したのか」をセットで確認する。 |
| 定着率 | 就職後、6か月・1年などの節目まで働き続けている人の割合。 | 数字だけでなく、なぜ続けられたのか、辞めた人はどんな理由だったのかを具体例で聞く。 |
| 平均賃金 | 紹介・就職先の平均月給や年収のイメージ。 | 障害者雇用枠か一般雇用か、フルタイムか短時間勤務かを分けて聞き、自分の希望する働き方と金額が合うかを必ず確認する。 |
| 職種の幅 | 事務・IT・軽作業・販売など、支援実績のある職種の種類。 | 軽作業と単純作業に偏っていないか、自分が目指す職種での実績があるかをチェックする。 |
数字の「見せ方」にも注意する
パンフレットやホームページには、良い数字だけが強調されていることもあります。就職者数や定着率を聞くときは、「対象期間」「母数(利用者全体の人数)」「就職先の雇用形態(正社員・契約社員・パートなど)」をセットで確認すると、実態に近いイメージが持てます。
また、就労継続支援A型・B型の場合は、工賃や賃金の水準も重要です。年収アップを目指すなら、「将来的に一般就労につなげるためのステップとしてA型・B型を使う」のか、「長く安定して働く場所として選ぶ」のかを自分の中ではっきりさせたうえで、工賃水準と支援内容を見比べることが必要になります。
職員に必ず聞きたい質問例
支援実績や就職率・定着率を確認するために、見学や体験のときに次のような質問を用意しておくと安心です。
- 直近1年間で、就労移行支援から何人くらい一般就労につながりましたか。
- 就職した方は、どのくらいの期間働き続けている人が多いですか。
- 最近の就職先の職種・業界にはどんな傾向がありますか。
- 工賃や賃金を上げるために、どのような支援やステップアップの提案をしていますか。
これらの質問に、具体的な数字や事例を交えて答えてくれる事業所は、支援の「結果」に責任を持って取り組んでいる可能性が高いと言えます。
年収・職種まで教えてくれる事業所は信頼できる
年収アップを真剣に考えるなら、就職先の求人票や実際に就職した人の「職種・雇用形態・想定年収」まできちんと説明してくれる事業所を選ぶことが大切です。「就職できればどこでもいい」というスタンスなのか、「その人のキャリアや家計まで含めて一緒に考えてくれる」のかは、面談の時点で大きく違いが見えてきます。
キャリア相談の深さをチェックする
個別面談や個別支援計画を立てるときに、次のような話し合いができるかを確認しましょう。
- 現在の生活費や家族構成、将来的に必要になりそうなお金(子育て・住宅など)まで含めて相談できるか。
- 障害年金や各種福祉サービスとのバランスを踏まえて、「どのくらいの年収を目標にするか」を一緒に考えてくれるか。
- 「まずは短時間勤務から」「スキルを付けてから一般雇用枠を目指す」など、複数のキャリアプランを具体的に提案してくれるか。
こうした相談ができる事業所は、単に職業訓練の場を提供するだけでなく、「長期的に年収を上げていくためのロードマップ」を一緒に描いてくれるパートナーになりやすいです。
求人票の見せ方・説明の仕方を見る
紹介してもらう求人票について、次のような説明をしてくれるかどうかも重要な判断材料になります。
- 基本給だけでなく、各種手当・賞与・昇給制度など、年収に関わる項目を一つずつ説明してくれる。
- 障害者雇用枠か一般雇用か、試用期間中の賃金や勤務時間の違いも含めて整理してくれる。
- 在宅勤務やフレックスタイム制度、テレワークなど、働き方の柔軟さも一緒に確認してくれる。
「とりあえず応募しましょう」と急がせず、メリット・デメリットやキャリアへの影響まで説明してくれる事業所ほど、長期的な年収アップを一緒に考えてくれる傾向があります。
企業との関係性から見えるもの
ハローワークに掲載されている求人だけでなく、事業所独自で開拓した企業や、長年付き合いのある企業をどの程度持っているのかも確認しましょう。企業訪問や実習を通じて職場の雰囲気や業務内容を詳しく把握している事業所ほど、「その会社で実際にどのくらいの年収・働き方が見込めるか」を現実的にアドバイスしやすいからです。
義足パパが「合わない支援」をやめた理由
義足パパ自身も、最初から自分に合った支援事業所を選べたわけではありません。「とりあえず訓練」「とりあえず就職」という雰囲気の事業所では、キャリアアップや年収アップのイメージがまったく持てず、通い続けるほど将来が不安になっていったと感じた経験があります。
合わないと感じたポイント
義足パパが「この支援は自分には合わない」と判断したとき、具体的には次のようなサインがありました。
- 面談で、将来の年収や働き方の希望を伝えても、「まずはどこでもいいから就職しましょう」とだけ言われた。
- 訓練内容が軽作業に偏っていて、事務職やIT系などのスキルアップにつながるカリキュラムが少なかった。
- 就職した人の話を聞いても、短期間で退職しているケースが多く、定着率やフォロー体制の説明があいまいだった。
このような状況では、たとえ一時的に就職できても、転職を繰り返してしまい、結果として年収が伸びにくくなるリスクが高いと感じたため、思い切って利用をやめる決断をしました。
事業所を変えたことで得られたもの
その後、義足パパは別の就労移行支援事業所を見学し、次のような違いを実感したと言います。
- 最初の面談から、義足であることや子育てとの両立も含めて、「どのくらいの年収・勤務時間なら現実的か」を一緒に考えてくれた。
- PCスキルや事務職に必要なビジネスマナーなど、年収アップにつながりやすいスキルを計画的に身につけられるカリキュラムが用意されていた。
- 就職後も就労定着支援につなげてくれる体制があり、職場での困りごとを相談できる安心感があった。
このように、自分の目標年収や希望する働き方とズレていると感じたら、「合わない支援」を無理に続けないことも大切な選択肢です。支援事業所は一度決めたら変えてはいけないものではなく、見学・体験を通じて比較しながら、自分に合う場所を探していくことが、障害者雇用で年収アップを実現する近道になります。
障害年金・福祉制度と年収のバランスを考える
7.1 障害年金と就労収入の関係
障害者雇用で働くとき、多くの人が悩むのが「障害年金を受け取りながら、どこまで働いて収入を増やしてよいのか」という点です。まず前提として、日本の障害年金(障害基礎年金・障害厚生年金)は、病気やけがによって長期にわたり生活や仕事が難しくなったときに、生活の基盤を支えるための公的年金制度です。詳しい制度の全体像は、日本年金機構の公式サイト(日本年金機構 障害年金の概要)で確認できます。
障害年金と就労収入の関係で重要なのは、「働くこと自体がただちに年金の支給停止につながるわけではない」という点です。就労していても、障害の状態が制度上の「障害等級」に該当している限り、原則として障害年金の受給は継続されます。一方で、就労を通じて障害の状態が改善し、「日常生活や労働の制限が軽くなった」と判断されると、将来的に等級変更や支給停止の可能性が生じます。この判断は、診断書による更新(再認定)の際に行われます。
また、障害福祉サービスや各種手当(特別障害者手当、自立支援医療など)は、世帯収入や所得に応じて負担額や受給要件が変わる場合があります。そのため、「年金」「賃金収入」「各種手当・福祉サービスの自己負担」の3つをセットで考えることが、年収全体のバランスを把握するうえで欠かせません。
| 項目 | ポイント | 就労との関係 |
|---|---|---|
| 障害基礎年金 | 国民年金をベースにした障害年金。主に自営業・無職など第1号被保険者が対象。 | 就労していても、障害等級が変わらなければ原則受給継続。状態の改善があると等級変更の可能性。 |
| 障害厚生年金 | 厚生年金加入中の病気やけがが原因の場合に受け取れる年金。報酬比例部分を含む。 | 企業に雇用され、給与を得ながら受給している人も多い。昇給や配置転換で実態が変わると見直し対象になりうる。 |
| 各種手当・福祉サービス | 自治体の障害者手帳関連の手当、自立支援医療、交通費助成など。 | 世帯所得により支給の有無や自己負担割合が変わることがあるため、年収アップ時は確認が必要。 |
義足パパとして感じるのは、「障害年金は“働かないためのお金”ではなく、“働き続けるための土台”という意識でとらえると、就労支援との相性がよくなるということです。収入を増やすことに罪悪感を持つ必要はありませんが、急なフルタイム転職や残業過多によって体調を崩し、結果的に年金も仕事も不安定になるケースは避けたいところです。
働きすぎると年金はどうなる?
「年収が増えすぎると障害年金は必ず止まるのか?」という不安は、多くの就労移行支援・就労定着支援の現場でもよく聞かれます。実際には、「所得の多さだけ」で自動的に障害年金が止まるわけではなく、あくまで障害の状態や日常生活能力・労働能力が総合的に判断されます。ただし、継続的に高い収入を得てフルタイムで働いている場合、「実態として障害の程度が軽くなったのではないか」と見なされ、更新時に等級変更や支給停止が検討される可能性は高まります。
障害年金は一定の期間ごとに診断書を提出する「更新(再認定)」があります(等級や傷病によって周期は異なります)。このとき、日本年金機構からの案内に従って医師の診断書を作成してもらい、実際の就労状況(勤務時間・仕事内容・配慮の有無など)も含めて記載されることが多くなっています。更新の仕組みは日本年金機構の案内(日本年金機構 障害年金の支給と更新)で確認できます。
「働きすぎると年金がなくなるかもしれないから、あえて短時間でしか働かない」という選択をする人もいますが、義足パパの考えとしては、「年金を減らさないこと」だけを目的にキャリアの選択肢を狭めすぎないことも大切だと感じています。たとえば、以下のような視点でバランスを考えると、極端にブレーキをかけずにすみます。
| 視点 | 考え方の例 |
|---|---|
| 健康・体調 | 残業や立ち仕事が増えることで、障害の悪化や疲労が蓄積しないかを最優先で確認する。 |
| 仕事の内容 | 業務内容が自分の障害特性に合っているか、合理的配慮やサポートが受けられるかを就労支援スタッフと一緒に整理する。 |
| 年収の推移 | 急激な増収ではなく、段階的に勤務時間や責任範囲を広げていき、年金の更新時期と照らし合わせて慎重に判断する。 |
| リスクへの備え | 体調悪化などで働けなくなった場合を想定し、貯蓄や民間保険の活用、家族との役割分担なども含めて考える。 |
義足パパ自身も、就労移行支援や就労定着支援のスタッフ、医療ソーシャルワーカーなどに相談しながら、「今の自分の体と生活にとって無理のない働き方かどうか」を軸に、年収アップのスピードを調整するようにしてきました。年金が減るかどうかだけでなく、「長く働き続けられるか」「家族との生活リズムを保てるか」といった要素も含めて総合的に判断することが重要です。
義足パパが考える「無理しない収入設計」
障害者就労支援を活用しながら年収アップを目指すとき、義足パパが特に意識しているのは、「年金+就労収入+福祉サービスのトータルで、無理なく暮らせるラインを見極める」という考え方です。ここでいう「無理なく暮らせる」とは、生活費をまかなえるだけでなく、通院やリハビリの時間、家族との時間、趣味や休息の時間も確保できる状態を指します。
具体的には、支援員や家族と一緒に、次のようなステップで収入設計を考えることをおすすめします。
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| 1. 現在の生活コストを把握する | 家賃・光熱費・食費・医療費・子育て費用・交通費など、「毎月いくらあれば安心か」を具体的な数字で洗い出す。 |
| 2. 年金・手当・福祉サービスを整理する | 障害年金の種類と額、自治体の手当、医療費助成などを一覧化し、どの程度生活費をカバーしているかを確認する。 |
| 3. 就労で補うべき金額を決める | 「生活費 − 年金・手当等」で不足する分を、どの程度の労働時間・時給・職種で補うかをシミュレーションする。 |
| 4. 体調・家族状況に応じて調整する | リハビリや子育て、通院の予定を踏まえて、週何日・1日何時間が現実的かを就労支援スタッフと一緒に検討する。 |
| 5. 制度変更や収入変化を定期的に確認する | 税制や福祉制度は見直されることがあるため、自治体や年金事務所、ハローワーク、相談支援専門員などに定期的に相談する。 |
なお、障害者雇用に関する支援制度や就労支援の全体像は、厚生労働省の案内(厚生労働省 障害者の就労支援対策)でも確認できます。就労移行支援・就労定着支援の事業所と連携しながら、「収入だけでなく、健康と生活リズムを守る」という視点を軸に、自分なりのペースで年収アップを図ることが、結果的に家計も心も安定させる近道になります。
義足パパとしては、年金を守るために働く量を極端に抑えるのではなく、「自分の障害特性に合った働き方を見つけ、そのうえで少しずつ年収を上げていく」ことを就労支援のスタッフと一緒に考えることをおすすめします。こうした「無理しない収入設計」ができていると、転職やキャリアアップのタイミングでも落ち着いて判断しやすくなり、長い目で見たときの生活の安定につながります。
義足パパが伝えたい|年収アップより大切な視点
私は片脚に義足を装着しながら、障害者雇用や一般雇用、在宅ワークなどいくつかの働き方を経験してきました。その中で強く感じているのは、「目先の年収アップ」だけを追いかけると、体力・メンタル・家族との時間を削りすぎて、結果的に長く働けなくなり、トータルの収入も人生の満足度も下がってしまうということです。障害者就労支援を活用するときこそ、「年収」より先に「長く続けられる働き方」「自分と家族が無理をしない生活リズム」を意識することが大切だと考えています。
障害者雇用の求人票には、月給や年収の金額、残業時間、有給休暇の取得状況などが並びますが、紙の情報だけでは見えない部分こそ、長期的なキャリアや生活の安定を左右します。例えば、通勤の負担、職場環境のバリアフリー状況、上司や同僚の障害理解、合理的配慮の実行度合い、在宅勤務や時短勤務の柔軟性といった要素です。数字として見える「年収」だけで比較するのではなく、自分の障害特性や家庭環境に合った「働き方の質」を重ねて考えることが、就労移行支援・就労定着支援を活かすうえでの土台になります。
「長く働けること」が結果的に年収を上げる
私自身、義足になった直後は「家族を守らなければ」という焦りから、通勤時間の長い職場や、残業の多い業務を候補に入れてしまった時期がありました。しかし、リハビリと仕事を両立しながらフルタイムで働こうとすると、どうしても体の負担が大きくなり、疲労が抜けないまま次の週を迎えることが増えました。結果として、転職後まもなく再び体調を崩し、退職を検討せざるを得ない状況になりかけた経験があります。
そのとき就労移行支援のスタッフから、「今より少し年収が低くても、健康状態を維持して3年、5年と働き続けられる方が、トータルの生涯年収は高くなる可能性があります」と助言を受けました。その言葉をきっかけに、私は求人を見るときの基準を次のように変えました。
| 視点 | 短期的に年収だけを重視した場合 | 長く働けることを重視した場合 |
|---|---|---|
| 労働時間 | 残業やフルタイム前提の求人を優先しがち | 時短勤務やフレックスタイム、在宅勤務の有無をチェック |
| 通勤負担 | 乗り換えの多い長距離通勤でも、給与が高ければ候補に入れる | 駅からの距離やエレベーターの有無など、身体への負担を重視 |
| 健康管理 | 定期通院やリハビリの時間を「なんとかやりくりする」前提 | 通院に理解のある職場か、休暇制度や有給取得率を確認 |
| キャリア | 今すぐ高い給与が得られる職種を優先 | 数年後にスキルや専門性を活かして単価を上げられる職種を検討 |
このように考え方を変えた結果、最初の年収は想定より少し低めになりましたが、通院と仕事の両立がしやすくなり、欠勤も減りました。「1年で最大の年収を狙う」のではなく、「5年、10年と働き続けられる環境を選ぶ」ことで、結果的に総額としての収入は安定し、家族との生活も守ることができたと感じています。
就労移行支援や就労定着支援の面談では、年収の希望額だけでなく、「週に何日・何時間なら無理なく働けるか」「通勤に使える体力はどれくらいか」「家事や子育てに必要な時間はどの程度か」なども、具体的な数字で一緒に整理してもらうことをおすすめします。こうした自己理解が進むと、支援員も就職先の企業も、長く働き続けられるマッチングをしやすくなります。
支援を使うことは甘えではない
私自身、義足になった当初は、「家族に心配をかけたくない」「周囲に迷惑をかけたくない」という思いから、就労移行支援やジョブコーチ、就労定着支援などのサポートをフルに使うことに、どこか後ろめたさを感じていました。しかし、障害者総合支援法にもとづく就労系サービスや、障害者雇用促進法にもとづく合理的配慮は、本人が甘えるための仕組みではなく、「働く権利を守るためのインフラ」だと気づいてから、考え方が大きく変わりました。
例えば、職場で業務量が増えすぎて体調を崩しかけたとき、以前の私は「自分がもっと頑張ればいい」と抱え込んでいました。今は、就労定着支援のスタッフに相談し、上司との面談に同席してもらいながら、業務内容の見直しや在宅勤務の組み合わせなどを提案しています。第三者である支援員が間に入ることで、感情的にならずに「具体的な業務の調整」を話し合えるようになり、結果として離職を防げた経験が何度もあります。
また、主治医やリハビリスタッフの意見を就労支援の場に持ち込むことも、とても有効でした。「この作業姿勢は義足への負担が大きい」「この時間帯は疲労が溜まりやすい」といった医療的な視点を、支援員や企業の人事担当者と共有することで、シフトや業務構成の見直しにつなげることができました。こうした連携は、厚生労働省のガイドラインでも推奨されており、就労支援の現場でも広がっています。
私が強調したいのは、「支援を使うこと」は、弱さではなく「働くための戦略」だということです。障害のある人が、障害者手帳を取得し、就労移行支援や就労定着支援を活用し、合理的配慮を求めるのは、「特別扱いをしてほしいから」ではなく、「健常者と同じスタートラインに立つため」に必要なプロセスです。サポートを上手に組み合わせることで、無理なく働き続けられる環境が整い、その結果として年収アップやキャリアアップにもつながっていきます。
子育てと障害を両立する働き方のリアル
私は二人の子どもを育てる父親でもあります。義足での生活になってから、子どもを保育園や小学校に送り迎えするだけでも、意外と体力を使うことに気づきました。雨の日の送迎や、荷物の多い日、行事の多い週などは、仕事との両立が一気に大変になります。「フルタイム+長時間通勤+家事・育児」という組み合わせは、数字上の年収は高く見えても、現実的にはバーンアウトのリスクが高いと、身をもって感じました。
そこで私は、就労移行支援の相談員と一緒に、「子どものライフイベント」と「自分の働き方」をカレンダーに落とし込み、生活全体を俯瞰して見直しました。入園・入学、長期休暇、保護者会、運動会など、年間を通してどの時期に負担が増えるのかを可視化し、そのうえで以下のような働き方の工夫をしました。
- 通勤時間を短くできる職場を優先して選ぶ
- 在宅勤務やテレワークが可能な業務を中心にする
- フレックスタイム制度を活用し、送り迎えの時間帯を調整する
- 学童保育や放課後等デイサービスの利用時間と勤務時間を連動させる
- 子どもの行事が多い時期は、あらかじめ残業を減らすよう上司と相談する
このように、「子育て」「障害」「仕事」の3つを同時に成り立たせるには、年収だけでなく、勤務時間帯・勤務地・リモートワークの可否・急な休みに対する会社の理解など、複数の条件を総合的に考える必要があると痛感しました。支援事業所の職員に同席してもらいながら、採用面接の段階でこうした点を率直に確認したことで、入社後のミスマッチを減らすこともできました。
もちろん、子育てと障害の両立は、きれいごとだけでは語れません。子どもが熱を出して早退が続くとき、自分の体調も万全ではない中で仕事をこなすのは、精神的にも苦しいものです。それでも、就労定着支援のスタッフに相談し、家族とも役割分担を話し合いながら、小さな調整を積み重ねることで、何とか働き続けてこられました。「完璧な親」「完璧な働き手」を目指すのではなく、支援を受けながら等身大の自分で続けていくことが、私にとってのリアルな両立の姿です。
最終的に、私が障害者就労支援を通して学んだのは、「年収アップ」はゴールではなく、「自分らしい生活を長く続けるための手段」にすぎないということです。体と心、家族との時間を守りながら働き続けることができれば、スキルも経験も少しずつ積み重なり、それが結果として年収アップやキャリアアップにつながっていきます。就労移行支援や就労定着支援を利用するときは、「いまの年収」だけではなく、「数年後の自分と家族の姿」をイメージしながら、支援者と一緒に働き方を設計していってほしいと心から願っています。
まとめ|障害者就労支援は「使い方」で人生が変わる
年収アップを目指す人が最初にやるべきこと
障害者就労支援を「なんとなく使う」のか、「年収アップまで見据えて戦略的に使う」のかで、結果は大きく変わります。まずは、自分の障害特性・体力・家庭状況を整理し、「どんな働き方なら長く続けられるか」を言語化することが出発点です。そのうえで、就労移行支援や就労定着支援に対し、希望する年収レンジや職種、勤務形態を具体的に伝え、支援員と一緒にキャリアプランを作ることが重要です。事業所の就職実績・定着率・サポート内容も必ず確認し、「自分の目標と支援内容が合っているか」を基準に選び直すことが、年収アップへの近道になります。
義足パパからのメッセージ
義足になってから、私は「とにかく働かなきゃ」という焦りで何度も失敗しましたが、支援を上手に使い始めてから、ようやく収入と生活のバランスが整ってきました。就労支援を頼ることは甘えではなく、「自分の人生を諦めないための選択」です。必要なサポートを受けながら、自分に合ったペースで働き続けることで、結果として年収もキャリアも積み上がっていきます。義足パパの出前授業は、義足の仕組みや障害のある人の生活を“リアルな体験”として伝えることで、子どもたちの価値観を大きく広げる授業です。多様性や思いやりを学ぶ機会として、全国の学校・PTA・地域団体から高い評価をいただいています。「うちの学校でも話を聞いてみたい」と思われた方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。授業内容の相談や日程調整も柔軟に対応いたします。

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