「幻肢痛」~ 足の切断を選んだ方に起こり得る症状とその対処法~

人生思いもよらぬ出来事が訪れることがあります。

その中でも「足の切断」という選択は、多くの困難を伴うものです。

そして、その選択を経た方の多くが体験するのが「幻肢痛」です。

実際に幻肢痛に悩みながら暮らしている方も多いはずです。

そこで今回は、「幻肢痛」とは何か?

どんな症状があり、どう対処すればいいのか?解説していきたいと思います。

目次

幻肢痛とは?その症状と原因を徹底解説

「幻肢痛」という言葉を聞いたことがありますか?

これは、手足を切断した後にも、失ったはずの部位が「そこにある」と感じ、その部分に痛みを覚える現象を指します。

驚くかもしれませんが、実際に手足を切断された方の60~80%がこの症状を体験していると言われています。

症状の特徴

幻肢痛の痛みは、単なる違和感ではなく、時に非常に強いものとなります。

具体的には、以下のような感覚が報告されています

①刺すような痛み:鋭い針で刺されるような感覚。
②焼けるような痛み:火傷を負ったような熱い痛み。
③締め付けられるような痛み:何かに強く圧迫されているような感覚。

これらの痛みは、日常生活に大きな影響を及ぼすことがあります。

特に夜間、痛みのために眠れなくなるケースも少なくありません。

なぜ幻肢痛が起こるのか?その原因を探る

幻肢痛の原因は、主に神経と脳の間で起こる「誤った信号伝達」にあると考えられています。

切断された部位の神経が、実際には存在しない手足からの信号を脳に送り続けることで、脳が「手足がまだある」と錯覚してしまうのです。

さらに、脳は手足が失われた現実を完全に認識するまでに時間がかかるため、このような感覚のズレが生じるとされています。

痛みの程度と期間

幻肢痛の症状は、個人によって異なります。

軽い違和感で済む方もいれば、強い痛みに長期間悩まされる方もいます。

以下は、一般的な経過の一例です。

発症時期:切断後1~5日以内に発症することが多い。

ピーク期間:最初の数ヶ月間が特に痛みが強く出やすい。

長期化の可能性:1~2年続く場合もあり、2年以上経過しても痛みが完全に消えないケースもあります。

ただし、時間の経過とともに痛みが和らぐことが多いとされています。

幻肢痛に立ち向かう!具体的な5つの対処法

幻肢痛に悩む方へ、実際に試してみる価値のある対処法を5つご紹介します。

いずれも効果が期待される方法ですので、自分に合うものを見つけてみてください。

①ミラーセラピー(鏡療法)

鏡を使った療法は、世界中で注目されている幻肢痛の対処法の一つです。

大きな鏡を準備し、切断していない方の足を鏡に映し出します。

切断側の足が視界に入らないように鏡の角度を調整し、鏡越しに「健康な足」の映像を作り出します。

こうすることで、脳に「足はまだ存在している」という錯覚を与え、痛みの信号が和らぐとされています。

即効性はありませんが、毎日20~30分の練習を続けることで改善が期待できます。

すべての方に効果があるわけではないものの、多くの方が痛みの軽減を実感しています。

②断端付近の炎症を抑える治療

切断直後に起きる炎症が、痛みを悪化させる要因となることがあります。

このため、断端部分の血管の異常な増殖を防ぐ治療が有効です。

医師による専門的な治療を受けることで、痛みが軽減されるケースが多く報告されています。

③薬物療法

幻肢痛の対処法として広く使用されているのが薬物療法です。

以下のような薬が、症状に応じて処方されます

鎮痛剤:アセトアミノフェンやイブプロフェン。

三環系抗うつ薬や抗痙攣薬:神経に働きかける薬。

強力な鎮痛薬(例:モルヒネ、ケタミン):症状が重度の場合に使用。

ただし、薬には副作用が伴うため、使用する際は医師との慎重な相談が必要です。

④電気刺激療法

薬物療法が十分な効果を示さない場合、電気刺激療法が次の選択肢となることがあります。

これは、皮膚に電極を取り付けて弱い電流を流すことで神経を刺激し、痛みを軽減する方法です。

TENS(経皮的電気神経刺激法):皮膚の表面に電極を貼り付けて行う方法。
脊髄刺激療法:電極を脊髄の近くに埋め込んで行う高度な方法。

これらの治療法は、医療機関で適切に実施されるため安心して取り組むことができます。

⑤ストレスをためない工夫

意外かもしれませんが、ストレスも幻肢痛を悪化させる要因の一つです。

日常生活の中でストレスを軽減するための工夫をしてみましょう

家族や友人に話を聞いてもらう。

趣味や好きなことに没頭する。

散歩や簡単なストレッチなどの軽い運動を取り入れる。

自分をリラックスさせる時間を作ることで、痛みが軽減される可能性があります

まとめ

今回は、足を切断した方が悩む「幻肢痛」の症状や原因、対処法について解説してきました。

幻肢痛は手足を切断したにもかかわらずその部分に痛みを感じる現象で、切断した60~80%の方に起こり、幻肢痛の症状は、日常生活に大きな影響を与える厄介なものです。

しかし、正しい知識を持ち、適切な対処法を実践することで、その痛みに立ち向かうことができます。

ご紹介した5つの方法をぜひ試してみてください。

そして、一人で抱え込まず、周囲や専門家のサポートを受けながら、自分に合った解決策を見つけていきましょう。

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