【メディア情報】リハビリ当事者の声『リハノワ』で取材されました!

がん教育を「自分事」に変える外部講師の活用術――30代・義足の当事者が提案する指導案と“生きた言葉”の伝え方

先生

がん教育、どう伝えればいいのか分からない

先生

 テーマが重すぎて、教室が沈んでしまう 

先生

生徒に『自分ごと』として捉えてもらえない

保健体育の先生、養護教諭、そして道徳の授業を担う先生方。

教室で「いのち」を扱う難しさに、そんな悩みを感じていませんか?

2人に1人ががんになる時代。
しかし、教科書の知識だけでは、子どもたちにとってがんは依然として「遠い話」や「ただ怖い病気」のまま止まってしまっています。

本記事では、30代のがんサバイバーであり義足ユーザーの「かず」が、実体験という“生きた言葉”で伝える「いのちの授業」の具体的な提案を紹介します。

小学校・中学校・高校の現場で求められる「がんの理解」と「生きていく力」の育成。
さらには、将来医療に従事する学生にとっても不可欠な「患者理解」や「寄り添う視点」の根幹を、リアルな体験談を通してどう育むか。

外部講師(ゲストティーチャー)の導入を検討されている教育関係者の方へ、授業を「自分ごと」に変えるための具体的なヒントを綴ります。

目次

「がん教育」とは?

1. 文部科学省による「がん教育」の定義

「がん教育は、健康教育の一環として、がんについての正しい理解と、がん患者や家族などのがんと向き合う人々に対する共感的な理解を深めることを通して、自他の健康と命の大切さについて学び、共に生きる社会づくりに寄与する資質や能力の育成を図る教育である。」

(出典:文部科学省「学校におけるがん教育の在り方について(報告)」平成27年3月)

https://www.mext.go.jp/a_menu/kenko/hoken/1369993.htm

がん教育では、上記でもあるように、がん患者や家族、向き合う人々の理解を深めることが目的とされています。

また、自分も含めた全ての人の命が大切であることを、がんを通じて学ぶことが教育の在り方として定義されました。

2.学習指導要領における位置付け

中学校(保健体育科)

「生活習慣病などの予防について、がんについても取り扱うものとする。」

(出典:【保健体育編】中学校学習指導要領解説 (平成29年告示)解説)

https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/1387016.htm

高等学校(保健体育科)

「個人及び社会生活における健康課題を解決することを重視する観点から、精神疾患やがんを含めた生活習慣病などの現代的な健康課題の解決に関わる内容、 応急手当の技能を含めた安全な社会生活に関する内容,ライフステージにおける健康 の保持増進や回復に関わる内容及び人々の健康を支える環境づくりに関する内容等を 充実した。」

(出典:【保健体育編 体育編】高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 )

https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/1407074.htm

がんを扱うことを通じて、他の様々な疾病の予防や望ましい生活習慣の確立を含めた健康教育の充実を図ることが学習指導要領から解説されています。

文部科学省の定義を要約すると、がん教育には以下の2つのミッションが課せられています。

  • 「知識の習得」
    がんという病気の正体、予防、早期発見についての正しい知識を学ぶ。
  • 「心の育成」
    がん患者やその家族への共感、命の大切さ、そして「共に生きる社会」について考える。

なぜ今、学校現場に「がん教育」が必要なのか?

「2人に1人」という統計と、子供たちの認識のズレ

現在、日本人の2人に1人が生涯のうちにがんに罹患すると言われています。※1

この「1/2」という確率は、誰もが直面する可能性があることがわかります。 

しかし、子供たちにとっての「がん」は、依然として「自分とは無縁の、遠くて怖い病気」という認識に留まっています。この「数字のリアルさ」と「実感の乏しさ」の乖離を埋めることが、教育の第一歩です。

※1がん情報サービス 最新がんデータ 最新がん統計まとめ より
https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/summary.html

学びを「自分ごと」にするためのスイッチ

学校教育で予防法や早期発見の重要性を説いても、生徒が「自分や大切な家族に起こりうるリアルな問題」として認識できなければ、将来の検診受診や生活習慣の改善という「具体的な行動」には繋がりません。

知識と予防という行動の間にある壁を壊すには、科学的なデータだけでなく、その壁を乗り越えて現在を生きている「当事者の姿」に触れる、心に深く届く実体験(スイッチ)が必要です。

義足を用いた外部講師による授業の様子

「病気=終わり」ではない、困難を乗り越える「生き抜く力」の育成

がん教育の真の目的は、単に病気を恐れることではありません。

万が一、自分や周囲が困難(がん)に直面した時、どう立ち上がり、どう日常を生きていくか。

この在り方こそが、予測困難なこれからの時代を生きる子供たちに必要なものではないでしょうか。

学校の先生だけで、この「命の重み」を背負い、ポジティブな授業を展開するのは容易ではありません。

だからこそ、教科書の言葉を「生きた言葉」へ変換できる、外部の専門家・当事者との連携が不可欠なのです。

なぜ今、外部講師(ゲストティーチャー)が必要なのか?

「経験」の不在が、他人事という壁を作る

統計上「1/2」という高い数字がありながら、なぜ子供たちが「自分だけは大丈夫」と感じるのか。
その理由は単純です。

「経験」の欠如。

 子供たちの周囲にがんを経験した人がいない、あるいは語る人がいないため、知識が頭を素通りしてしまう。

この「未知」という状態が、情報の受け取りを拒否する強固な「他人事という壁」を形成しています。

文部科学省の指針:外部講師の活用は「推奨される指針」

文部科学省の「がん教育推進のためのガイドライン」においても、がん患者本人や専門家などの外部講師の活用が強く勧められています。

「がん を通して健康と命の大切さを考える教育を進めるに当たっては、がん経験者等の外部 講師の参加・協力を推進する。」 

(出典:文部科学省「学校におけるがん教育の在り方について(報告)」外部講師の参加・協力など関係諸機関との連携について)

https://www.mext.go.jp/a_menu/kenko/hoken/1369993.htm

義足パパが外部講師としておすすめな3つの理由

1.自分の「親」や「自分自身」に重ねられる親近感

30代という年齢は、子供たちにとって自分の親に近い、最もリアルで身近な大人です

従来のがん教育で多かった「高齢者の体験談」という距離感を、圧倒的な「当事者意識」へと書き換えます。 また、私が骨肉腫というがんが見つかったのは17歳の高校生。

17歳という年齢は、子供たちにとっては「すぐ先の自分」です。

生徒たちの今の年齢に近い時期の葛藤を語ることで、自分ごととして捉えることができます。

切断直後

2.「義足」という圧倒的な視覚情報

33歳のとき、がんの合併症の進行により足を切断し、義足で生きる選択をしました。

迷いと不安の中で、背中を押してくれたのは、義足で生活をしている人の姿でした。

「目に見える形での変化」は、子供たちの漠然とした想像力を一瞬で「これは現実に起きていることなんだ」という確信へと変える力を持っています。

それは決して可哀想なことではなく、困難と向き合い、乗り越えてきた「確実な足跡」として、子供たちの記憶に深く刻まれます。

「義足は終わりではなく、新しい生き方なんだ」

私が、そう確信したのは、義足でも働き、堂々と生きている人を見たからです。

子供たちには、「がんは怖いもの」「病気は他人事」「義足は可哀想」ではなく「がんという病気は身近にある」しかし、「困難を乗り越える方法もある」ことも伝えたいと考えています。

講演会様子

3. がんという病気と義足を通じ「共に生きる社会」へ

がん教育のゴールは「病気の知識を得ること」だけではありません。

真の価値は、人生の大きな壁にぶつかったとき、どうやって自分をアップデートし、新しい一歩を踏み出すかという「生き抜く力」を学ぶことにあります。

私は、足を失うという絶望的な状況を「新しい生き方のスタート」として捉え直し、実際に社会で活動し続けています。

「病気=終わり」ではなく、「病気になっても、人生を楽しみ続けることができる」という前向きなマインドを子供たちに与えること。

大切なのは、形が変わることではなく、変わった後にどう自分をアップデートし、パパとして、社会人として人生を楽しみ続けるか。

これこそが、がんの当事者を外部講師として活用する最大の意義です。

4. 小学校・中学校に提案!30代・義足パパが教える「がん教育」授業案(指導案)のヒント

【構成案:45分間の「いのちの授業」】

STEP
導入(5分)
  • 「義足パパ」の自己紹介。
  • いきなり義足を見せる(または歩いて見せる)ことで、一瞬で子供たちの意識を向けさせます。
STEP
展開1(15分):17歳の自分と、がんの宣告
  • 「君たちと同じくらいの年齢のとき、僕に何が起きたか」
  • 病気が見つかった時の葛藤、そして「命」との向き合い方。
STEP
展開2(15分):33歳の決断と、義足という「再起動」
  • 「足を残すか、切るか」という選択。
  • 義足を選んだことで手に入れた「新しい生き方」。
  • 仕事、趣味、パパとしての日常……「がん=終わり」ではない。
STEP
まとめ(10分):君たちにインストールしてほしい「生き抜く力」
  • 「困難は乗り越えられる」というメッセージ。
  • がん検診や予防の大切さを「自分の大切な人を守るため」という文脈で伝える。
  • 質疑応答。

コピペOK!の指導計画書(指導案)

スクロールできます
時間学習活動(生徒の動き)講師の働きかけ(指導上の留意点)
導入(5分)突然の義足の登場に驚き、関心を持つ。自己紹介。義足を見せ、一瞬で「他人事」を「現実」に変える。
展開1 (15分)17歳の宣告時の葛藤に触れ、自分に重ねる。「君たちの年齢で起きた出来事」を話し、命の有限性を伝える。
展開2 (15分)義足での日常を知り、「不便=不幸」ではないと気づく。義足という「再出発」の話。困難を乗り越え楽しむ姿を提示。
まとめ (10分)自分や大切な人の健康を守る「意味」を理解する。検診の大切さ、生き抜く力を共有する。

本構成案は、貴校における『がん教育』の指導計画書(指導案)として、そのままコピー&ペーストしてご活用いただけます。 先生方の事務的な負担を最小限に抑えつつ、質の高い『いのちの授業』を円滑に実施するためのサポートとしてお役立てください。

5.おわりに:この授業が、教室に届ける「3つの価値」

「“かわいそう”で終わらせないがん教育を、教室に届けませんか?」

「重い話」から「未来をアップデートする話」へ 

病気の恐怖や悲惨さを語るのではなく、メインは「困難と対峙する生き方」。
困難を乗り越える力を、自分ごととして学ぶ時間を提供します。

「かわいそう」から「多様性」へ 

義足を見て固まるのではなく、「テクノロジーを使いこなし、人生を楽しむカッコいい大人」に出会う経験。これが、真のバリアフリーを理解する最短ルートになります。

「受動的」から「主体的(探究学習)」へ 

「自分ならどう考えるか」という問いかけを通じ、病気の理解と社会との共生の視点から、子供たちの「なぜ?」を刺激する探究の場を創出します。

文部科学省が掲げる「がん教育の二大目標」との整合性

義足パパによる「いのちの授業」は、文部科学省が定義する「がん教育」の二大目標に対し、極めて高いレベルで合致しています。

「知識の習得」への合致

がんの発覚、闘病、そして合併症による切断。当事者の口から語られる「正体・予防・早期発見」の重要性は、教科書の文字情報の数倍の説得力を持ち、子供たちの正しい知識の習得を強力に後押しします。

心の育成」への合致

がんと共に生きる家族の姿、そして義足という新しい手段で社会に参画する姿を見せることで、「共感的な理解」と「共に生きる社会」への意識を自然なかたちで醸成します。

本プログラムは、単なる体験談の提供ではなく、国の教育指針を教育現場で具現化することを目指しています。

 対象:小学校・中学校・高校・看護学校
    内容:がん教育/いのちの授業/多様性教育
    地域:全国可能 

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